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2026/3/17【活動報告】廃プラ共同回収に関するワークショップ その1

福岡アジア都市研究所(URC)からの依頼を受けて進めている研究の一環として、廃プラスチックの共同回収に関する意見交換会(第3回)を、2月5日に開催しました。
第1回・第2回の意見交換会では、企業連携によるリサイクルのメリットや課題について論点を整理してきましたが、今回は参加者からの「より実践的な検討の場を」という声に応え、議論を一段階先へ進めるための「実践型ワークショップ」として企画されました。行政、金融、教育、そして民間企業といった多様なバックグラウンドを持つ約20名が集まり、廃プラスチックの共同回収に向けた「理想」と「現実」を語り合った記録をお届けします。
ワークショップは、天神の新設ビルワン・フクオカ・ビルディング(通称ワンビル)の資源庫見学からスタートしました。言わずと知れた、福岡の都心再開発プロジェクト天神ビッグバンの象徴的な建物のひとつです。ここでの目的は、商業施設における資源管理のリアルなオペレーションを理解すること。テナントから排出されるごみや資源物が、どのように集められ、分別され、そして再資源化へとつながっていくのか、その裏側の仕組みを実際の現場で確認しました。

資源庫では、段ボールや雑誌などの紙類、びん・缶、ガラス、生ごみに加え、ペットボトル、発泡スチロール、軟質プラスチック、硬質プラスチックなどのプラスチック類を含め、合計18種類に分別して回収が行われていました。テナントが資源を搬入する際には、店舗ごとに割り当てられたバーコードを読み取り、資源の種類ごとに計量を行う仕組みになっていました。計量が記録されるとシールが発行され、それを袋に貼付したうえで、かご車ごとに分けられた資源の保管場所に置く運用です。また、搬入できる時間もルール化されており、午前中の2時間と、夕方から夜間にかけての時間帯の1日2回に限定されていました。
こうした運用について説明を受ける中で、多くの参加者が驚いたのは、飲食ごみを扱っているにもかかわらず、ほとんど臭気がなく、全体として非常に清潔な状態が保たれていたことでした。なぜこれが可能なのか。見学を進めるにつれて、その背景となる運用上の工夫が見えてきました。
まず、設計段階から運用条件についてビルオーナー側と協議が行われており、開業前からテナントへの説明や調整を進めてきたことで、搬入や保管の動線が比較的整理された形で運用されていました。また、ここでは「仕組み」を作るだけでなく、それが適切に運用されるよう、環境整備や事前の指導があわせて行われていました。
現場で印象的だったのは、物理的な工夫が利用者の行動にも一定の影響を与えているように見えた点です。そのひとつが、週に一度すべてのカートを移動させて行うポリッシャー清掃です。定期的に床面がリセットされ、清潔な状態が保たれていることで、利用する側にも自然と丁寧に使おうとする意識が働いているように感じられました。また、分別品目や搬入時間が明確にルール化されていることも、管理を安定させる要因になっていると考えられます。
さらに、スタッフが常駐していることで常に人の目がある状態となり、過度ではない緊張感が保たれていました。ごみ置き場を単に管理する場所とするのではなく、利用者にとっても使いやすく整えられていることが、資源の状態を保つことにつながっているように見受けられました。
施設見学の後は、ワークショップの一環として「ワケルンピック」を実施しました。さまざまなプラスチック素材を実際に手に取りながら分別のコツを体感するこのプログラム。
その活気あふれる様子は次回の記事でお伝えします。なお、本研究の詳細や分析結果については、福岡アジア都市研究所(URC)の報告書として2026年春に公開予定です。公開されましたら、ぜひチェックしてみてください。
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2026/2/24修理についてのアンケート結果 その2

前回は、2,000人のアンケート結果をもとに日本における修理の現状をお伝えしました。修理の必要性は多くの人が認識しているものの、「どこで修理できるかわからない」「高そう」という情報・コスト面の障壁が、修理という選択肢を遠ざけている実態が浮かび上がりました。
では、そうした状況の中で積極的に修理を活用している人たちは、どんな層なのでしょうか。今回は「修理ヘビーユーザー」に焦点を当てます。
修理ヘビーユーザーとは
今回の調査では、過去2〜3年に日用品修理店を複数回利用し、合計でおよそ2万円以上を費やした人を「修理ヘビーユーザー」と定義しました。修理経験者の約16%に相当します。2万円という金額は、衣類のファスナー交換や裾上げを複数回、あるいは高価なバッグや電化製品の修理なら1〜2回でほぼ達する水準です。特別な出費というよりも、日常的な選択の積み重ねといえるでしょう。
ヘビーユーザーの特徴
最も多いのは30代(27%)で、調査全体の割合(15%)の1.8倍にあたります。40代(21%)と合わせると、30〜40代でヘビーユーザー全体の約半数を占めます。
その他の特徴を調査全体と比較すると、次のような傾向が見えてきます。
- 子どもがいる:56%(全体平均45%)
- フリマアプリで売買両方を経験:60%(全体平均29%)
- 世帯年収1,000万円以上:30%(全体13%の2.3倍)
- 東京都内在住:30%(全体17%の1.8倍)
子育て世帯や所得水準の高い層、都市部の居住者、そしてフリマアプリで「モノの価値を見極める」習慣を持つ人に、修理の積極的な利用者が多い傾向があります。
修理する理由の違い

さらに注目したいのは、修理を選ぶ動機の違いです。調査全体では「まだ使えるから」という実用的・経済的な理由が最も多かったのに対し、ヘビーユーザーでは「愛着や思い入れがあるから」という感情的な理由が上位に挙がりました。
ヘビーユーザーにとって修理の対象は、単なる日用品ではなく手放したくない大切なものです。だからこそ、多少費用がかかっても修理を選ぶ——そうした「愛着への投資」という動機が、高単価・高頻度の利用につながっていると考えられます。
不満・不安の違い

修理に関する不満や不安にも、両者で異なる傾向が見られました。調査全体では料金やアクセスの悪さを挙げる人が多い一方、ヘビーユーザーは「大切なものを自分では直せない」ことへの不満が目立ちます。ただし、料金や修理可能な範囲の見通しが立てにくい点は、両者に共通する課題です。
修理市場の可能性
前回お伝えしたとおり、修理を利用している人は全体の約20%にとどまります。情報やアクセスの壁がある限り、ニーズがあっても修理は選択肢に入りにくい状況が続くでしょう。
一方で、ヘビーユーザーの行動が示すのは、修理が日常の延長線上にあるという事実です。壁さえ取り除けば、修理はより多くの人に自然に選ばれる選択肢になり得ます。
調査結果が示す課題は2つです。まだ修理を使っていない人には、認知・アクセス・価格の透明性という障壁を下げること。すでに修理に積極的な層には、愛着あるものをより深く・長く直せる体験を提供すること——これが市場の単価と頻度を高める鍵になるでしょう。
愛着あるものを長く使う文化が再評価される時代は、すでに始まっています。日本の修理市場にはまだ大きな成長の余地があります。
【調査概要】
調査対象:20代〜70代以上の男女
サンプル数:2,000人(各年代300〜400人)
調査方法:オンライン調査
調査期間:2026年10月~11月 -
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2026/2/12修理についてのアンケート結果 その1

前回は、国内で日用品の修理が進んでいない現状についてお伝えしました。今回はA lutenが行った修理についてのアンケートの結果についてお伝えします。
本調査は、20代から70代以上までの合計2,000人、各年代から概ね300〜400人を対象にオンラインで実施しました。調査によると、過去2〜3年の間に修理経験がある人は全体の約2割に留まり、必要性を感じながらも修理を行っていない人も約2割、そして修理を必要だと感じたことのない人が約6割という結果でした。
年代別に見ると、修理経験は年代とともに高まる傾向が示されています。
アンケートでは修理が必要な時、相談先が思い当たるアイテムについて尋ねました。
すると回答者のうち43%が、日用品の修理店を1つも知らないと答えました。
家電やスマートフォン・PC修理:それぞれ約32%(最も高い)
衣服、時計・アクセサリー:それぞれ約23%
家具、マットレス:それぞれ約6%認知度が最も高いスマホ・PC修理でさえ3割程度。家具やマットレスに至っては、どこで修理できるか知っている人はほとんどいません。

調査では、年齢が上がるほど修理経験があり、修理店の場所も知っているという傾向が見られました。
- 20代:約60%が「どの修理店も知らない」と回答
- 30代〜60代:徐々に「どこも知らない」割合が減少
- 70代以上:半数以上が家電やスマホの修理先を把握。「どこも知らない」という回答は少数派に
若い世代ほど、修理という選択肢が視界に入っていない状況がわかります。
次に修理の不満について調査したところ、明確な課題が浮き彫りになりました。
最も不満が強かったのは「料金が高い・高そう」で、64.5%が共感を示し、他の項目を大きく引き離しました。次点では「どこまで直せるかわからない」「お店が近くにない/探すのが面倒」が上位に並びました。
この順位は修理経験のありなしに関わらずほとんど一緒でしたが、修理経験者は実感を伴って、不満に共感する人の割合が全体に高くなりました。
一方、「直す必要性を感じない」という項目は最も不満が少なく、多くの人が修理の必要性自体は認識していることがわかりました。
次回は、実際に修理を積極的に活用している人たちに注目します。
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2026/1/29修理についてのアンケート調査を実施しました

一般社団法人A lutenは、「資源循環の媒介役」として、人と人、モノとモノをつなぐ活動をしています。このたび、資源循環を実現するために「修理(リペア)」に焦点を当てた約2,000人規模の調査を実施しました。なぜ修理に注目したのか、まずその背景についてお話しします。
実はリサイクルに偏っている日本の3R
日本では1990年代から「リデュース」「リユース」「リサイクル」の3R概念が広まり、循環型社会づくりが進められてきました。環境省は環境負荷の低い順に「リデュース」「リユース」(修理はここに含まれます)を優先すべきとしていますが、実際は環境負荷の高い「リサイクル」に重きが置かれているのが現状です。

近年注目されている「サーキュラーエコノミー(循環経済)」は、従来の「作る→使う→捨てる」という一方通行ではなく、資源や製品の価値をできるだけ長く保つ新しい経済システムです。ここで特に重要なのが、リデュースに続き、製品を長く使い続けるリユースなのです。
実は浸透していない「修理」という選択肢
フリマアプリの登場やリユースショップの増加により、日本のリユース市場は拡大傾向にあります。しかし、「修理」という選択肢はまだまだ浸透していません。
総務省家計調査のデータを見ると、修理関連の年間支出の80%以上が住宅や自動車などの大型修理に使われており、文具、バッグ、玩具といった生活用品の修理はわずか2%にとどまっています。
住宅や車については修理を日常的に行っていても、身の回りのモノを「修理する」という発想が、まだ一般的ではないのです。
なぜモノの修理は広まらないのか?
修理が普及しない理由は複雑です。現代社会では安くて手軽に買い替えられる環境が当たり前になり、モノを修理して長く使う習慣が根付いていません。利用者側からは、「修理より買い替えの方が安くて早い」「どこで修理できるのかわからない」「修理店に持っていくのが面倒」といった声が聞かれます。
こうした様々な課題が重なって、修理の文化が十分に形成されていないのが実情です。私たちA lutenは、「壊れたら捨てる」から「直して長く使う」文化への転換を目指し、修理のニーズやハードルを把握する調査を実施しました。
修理の必要性を感じた人は少数派
本調査は、20代から70代以上までを対象に合計2,000人、各年代から概ね300〜400人程度の回答を得ました。
調査の結果、過去2〜3年の間に修理経験がある人は全体の約2割に留まり、続く約2割は必要性を感じながらも修理を行っていないことが判明しました。残りの6割は修理を行ったことも、必要性を感じたこともなかったのです。

次回は、この調査結果の続きをご紹介します。
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2026/1/21竹を使ったコンポストプロジェクト その6(最終回)~検証!究極の竹堆肥でほうれん草は育つ?後編~

前編ブログでは、竹コンポストでできた堆肥を畑に施し、条件を分けてほうれん草を種まきするところまでを記録しました。
今回はその続きとして、発芽から生育の経過を追いながら、種まきから58日目、収穫までの歩みを林田産業さんの記録を交えて一気に振り返ります。-
発芽(8日目): すべての区画で無事に発芽がそろいました。この時点では、どの区画も大きな差はありませんでした。
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本葉の展開(15日目): 早くも差が出始めます。化学肥料区は安定して成長していましたが、コンポスト堆肥区と無施肥区は成長が停滞し始めました。
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明暗分かれた中期(32日目): 化学肥料区が順調に育つ一方で、無施肥区は消滅し、コンポスト堆肥区も虫食いや成長不良で全滅に近い状態となりました。
- 最終結果(58日目): 最終的に収穫期まで育ったのは「化学肥料区」のみでした。本葉が8〜10枚まで育ちましたが、残念ながらコンポスト堆肥区では収穫に至る成果は得られませんでした。

今回の実験を通じて、資源循環の「難しさ」と「可能性」の両面が見えてきました。
給食残渣を焼却せず、堆肥として畑へ戻す「資源循環の流れ」を具体的に確認できたことは大きな成果です。しかし、今回の竹コンポスト堆肥だけでは、ほうれん草の初期生育に必要な窒素分などの養分が不足していた可能性が高いと考えています。 生ごみを魔法のように消し去ってくれるコンポストですが、そこから生まれる堆肥は、あくまで元となる野菜くずの栄養から得られたものです。「魔法の肥料」ではなく、作物の種類や生育段階に合わせ、他の肥料と適切に組み合わせて使う必要があるという重要な示唆が得られました。
タイプA(土置き型)のコンポストでアリが多く見られたように、分解過程での温度・湿度・投入物のバランスが堆肥の質に直結します。次回の運用では、これらの内部環境をより適切に管理することが課題となります。
役目を終えた2基のコンポストを解体し、竹材の劣化や接合部の状態を点検しました。実際に使ってみることで、それぞれのモデルの長所と短所が明確になりました。
- タイプA(土置き型): 地面直置きで分解は進むが、底が深く「撹拌(かき混ぜ)作業」が難しい。
- タイプB(脚付き型): 麻袋を使い「可動性」や「取り出しやすさ」には優れるが、容量や耐久性に課題。
これらの経験を活かし、今後は両者の長所を掛け合わせたハイブリッドモデルの開発を目指します。
今回のブログで、竹コンポストに関する記録は完結です。設計から製作、堆肥づくり、そして栽培実験までの一連の工程を通じて、多くの発見と学びがありました。
実証実験の結果は、成功も失敗も含めて次なる資源循環プロジェクトへの貴重な第一歩です。何より、児童、教職員、企業(林田産業さん)、地域協力者が一丸となって取り組んだこのプロセスは、今後の環境学習の強固な基盤となりました。今回得られた気づきを、これからの活動や未来の資源循環へとつなげていきます。
協力してくださった皆さま、本当にありがとうございました! -
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2026/1/9新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
旧年中は多くのご縁と学びをいただき、心より感謝申し上げます。今年は、これまで積み重ねた実践と研究を、社会へと「つなぐ」一年にしたいと考えています。
変化の波をただ待つのではなく、小さな波がやがて大きなうねりとなるよう、その一歩目の“ひと押し“を丁寧に重ねていく——そんな姿勢で歩みたいと思います。周囲を見渡すと、AI をはじめとした技術の進展により、働き方や社会構造が加速度的に変化しています。一方で、サーキュラーエコノミーの潮流は後戻りすることなく、資源循環の実装を確実に求めています。
こうした異なる速度で変化が進む時間軸と、資源が多様な方向へと流動する空間軸が複雑に交差する時代だからこそ、現場の実践、データの理解、そして仕組み作りといった、小さな種を着実に育てていくことが、確かな未来につながると信じています。本年も多くの方々との対話や協働を大切にしながら、社会にとって意味のある取り組みを一歩ずつ進めてまいります。
皆さまにとっても、実り多く健やかな一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。 -
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2025/12/262025年もありがとうございました。

本日が年内最終営業日となりました。
2025年も多くの皆さまに大変お世話になり、心より御礼申し上げます。今年を振り返ると、さまざまな分野で多くの挑戦と学びの機会をいただいた一年でした。
企業の脱炭素に関しては、行動変容を促すことを目的とした共同事業に取り組み、現場での実践や対話を重ねてきました。また、TICAD9に関連する取り組みとして、アフリカにおけるプラスチック循環に関わる多くの方々と出会い、サーキュラーエコノミーの実現に向けた活動をお手伝いする機会にも恵まれました。あわせて、プラスチック循環を促進するための情報連携のあり方についても、実務と研究の両面から検討を進めました。
今年はあらたに、学校を舞台とした竹製コンポストの設計・制作・運用にも取り組みました。放置竹林という地域資源と、給食から出る生ごみをつなぎ、「廃棄物を資源として循環させる」ことを実感を伴って学ぶ場をつくるという点で、非常に示唆に富む取り組みとなりました。
国内ではそのほか、リペアを日本の文化として根付かせるための仕組みづくりの検討や、子どもたちの「データを正しく理解する力」「自分で考える力」を育むデータサイエンス講座の開発にも取り組みました。さらに、こうした教育や実践がウェルビーイングの向上にどのように寄与し得るのか、政策への適用可能性についても考える一年となりました。
これらの取り組みは、決して一人では成し得ないものであり、多くの方々のご協力とご支援のおかげで、貴重な経験を積ませていただきました。あらためて深く感謝申し上げます。
まだブログやホームページで十分に共有できていない取り組みも多く残っていますが、来年にかけて、少しずつ発信していければと考えています。
引き続き、皆さまと対話を重ねながら、社会にとって意味のある取り組みを進めてまいります。
来る年もどうぞよろしくお願いいたします。皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。
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2025/12/25竹を使ったコンポストプロジェクト その5~検証!究極の竹堆肥でほうれん草は育つ?前編~

コンポストでの堆肥づくりを記録してからしばらく時間が空いてしまいましたが、その間も竹コンポストの中では分解が静かに進み、夏休みの期間を使って十分に熟した堆肥ができあがっていました。
今回は、竹コンポストでできた堆肥を実際の畑に施肥し、野菜の育ち方にどんな違いが出るのかを確かめた実験を、少し時間をさかのぼって振り返ります。コンポストを畑にすき込んだのは夏休み明けの9月、種を蒔いたのは10月のことになりますが、経過と結果を整理するため、ここで改めて記録していきます。
使用した竹コンポストはA(土置き型)とB(脚付き型)の2基で、どちらも投入を終えてからかなり時間が経過していました。中を確認すると、堆肥の量は当初より減り、しっかり完熟した状態になっていました。まずは、この2基分の堆肥を、竹コンポストに隣接する畑へ移します。
竹コンポストA(土置き型)の中は、見た目にも分解がよく進んでおり、においもなく扱いやすい状態でした。堆肥は畑へ運び、表面にまいて軽くすき込みました。この作業の際、コンポストの中にアリの巣ができていたようで、堆肥を畑に運ぶときにたくさんのアリも一緒に移動してしまいました。一般的に、適切に管理されたコンポストの中は温度や湿度が高いため、アリが住みつくことはあまりありません。投入していた生ごみは野菜くずのみで、ごはんやパン、油分の多い食品などは入れていなかったため、糖分などに引き寄せられたとは考えにくい状況でした。今回のケースでは、分解がひと段落して温度が下がったタイミングで、コンポスト内が乾燥し、アリにとって居心地のよい環境になってしまった可能性があります。また、今回使用したコンポストは土置き型で、地面と直接つながっている構造のため、周囲の土壌からアリが入りやすかったことも影響していそうです。子どもたちの中には虫が苦手な子もいます。スコップや棒でつっつきながらも何とか土とたわむれて?くれました。

コンポストA(土置き型)の様子
続いて竹コンポストB(脚付き型)です。こちらは麻袋に入れたまま畑へ運び、袋をひっくり返してそのまますき込みました。

コンポストB(脚付き型)の様子 こうして竹コンポストA・Bともに中は空になり、堆肥づくりの一区切りと、畑での新しい段階につながりました。
今回は、作物の成長の違いを確認するために、林田産業さんが比較実験区画を設定してくださいました。
同じ畑の中で、次の3つの区画を並べて設定しました。
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竹コンポストの堆肥とほうれん草用の化学肥料を施した区画(黄色部分)
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竹コンポストの堆肥のみを施した区画(緑色部分)
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何も施さない区画(無色部分)
いずれも同じ品種のほうれん草を育てることで、肥料の違いが生育にどのような影響を与えるのかを比較できるようになっています。

その後、10月にほうれん草の種まきを行いました。
子どもたちは、ほうれん草の赤い種を受け取り(トップ画像)、指を広げた手を目安にして、指と指の間隔ごとに播種する方法を教わり、丁寧に作業を行いました。

こうして、竹コンポスト堆肥が実際の栽培でどのように働くのかを確かめる実験が始まりました。
次回は、発芽から58日目までのほうれん草の生育を振り返りながら、時間をかけて作った竹コンポスト堆肥がどのような結果をもたらしたのかを、まとめて考察していきます。 -
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2025/10/16竹製コンポストがイオンモールで紹介されました

以前からお伝えしている小学校での竹製コンポストの取り組みでの子どもたちの活動が、イオンモール福津で開催された「サステナフェス」にて紹介されました。
サステナフェスは宗像・福津・古賀地域の学校や企業、市民団体などがサステナビリティに関する取り組みを展示するイベントで、竹製コンポストの取り組みも学校の環境学習の一つとして掲示されました。会場では、子どもたちが観察してきた様子や、竹と野菜くずだけで進む堆肥化の過程が写真とともに紹介され、地域の方々にも注目されました。学校内での学びが地域に広がる機会となっています。

我々を含む民間企業や団体が学校に出向いて出張授業を行ったり、プロジェクトを合同で実施し、さらにそれらの取り組みが地域の拠点であるイオンモールで紹介されることは、学校と地域が自然に連携していることを感じさせます。先生は授業を通じて多様なアプローチで知識や経験を提供しますが、地域で活動する企業や団体が実務に基づく話題や機会を提供することで、子どもたちはよりリアルな体験として記憶に残すことができるのではないかと思います。
対象の小学校はコミュニティスクールに認定されており、今回の取り組み以外でも地域とつながる機会が多く提供されています。さらに、イオンモール福津でのサステナフェスのように、地域イベントや個人店が学校や市民とつながる場となる仕組みも非常に意義深いと感じます。子どもたちの活動が地域で可視化され、関心を持つ大人たちとつながることで、学びは教室内に留まらず、地域全体で循環する価値ある体験へと広がりそうです。
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2025/9/29ペットボトルキャップのリサイクルから見える、日本と欧州のアプローチの違い

欧州委員会が2019年に発表したプレスリリース(リンクはこちら)を読みながら、ペットボトルのリサイクルに関する日本と欧州の考え方の違いについて改めて考えてみました。
日本では、以前のブログでも紹介したように、ペットボトルキャップをいったんボトルと分けてから精緻に回収する事例が見られました。通常の容器包装プラスチックのリサイクル施設では、小さすぎるキャップは処理工程で弾かれることが多いのですが、キャップ専用に作られた特殊な設備や機械を使い、異物を取り除いた上で素材や色ごとに選別し、リサイクルする方法です。
一方、欧州ではアプローチが少し異なります。冒頭のプレスリリースにある通り、2019年に発行され、2024年7月に施行された「使い捨てプラスチック指令(Single-Use Plastics Directive)」により、ペットボトルのキャップがそもそも外れないように設計することが義務化されました。欧州では、プラスチックのリサイクル効率を高めるため、製品段階からリサイクルを意識した設計が推奨されており、これを「Design for Recycling(DfR/リサイクルしやすい設計)」と呼びます。ペットボトルの場合、キャップをボトルに固定したまま回収・リサイクルできる構造が奨励されています。
(トップ画像参考:CORVAGLIA MOULD AGスイスのコルヴァリア・モールド社)さて、ペットボトルとキャップがくっついたままリサイクル施設に持ち込まれた場合、素材の異なる2つをどのように分別するのでしょうか。まず、ペットボトルはキャップごと破砕機にかけられ、3〜5cmほどの破片に破砕されます。その後、比重選別が行われます。比重選別とは、物質の比重(密度)の違いを利用して、異なる素材を分離する方法で、PPやPEは水よりも比重が小さいためキャップは水に浮き、PETは比重が大きいためボトル部分が沈み、自然に分離されます。
さらに、PPとPEを区別する場合には、近赤外線(NIR)選別が用いられます。NIR選別では、対象のプラスチック破片に近赤外線を照射します。プラスチックは種類ごとに分子構造が異なるため、反射される波長や強さがそれぞれ微妙に変わります。機械はそのパターンを読み取り、PET、PP、PEなどの異なるプラスチックを正確に識別し、分別するのです。
興味深いのは、ペットボトルリサイクルへの取り組みが、日本では現状を前提に技術で課題を解決しようとするのに対し、欧州では設計や規制を通じて問題を未然に防ごうとする姿勢として表れていることです。
ただし、この話には続きがあり、欧州では、今回導入されたペットボトルのくっついたキャップ(Tethered cap)が新たな議論を呼んでいるようです。消費者の中には、キャップが口や鼻にあたって飲みにくいと感じる人がいるそうで、そのフラストレーションから、わざわざキャップを外して海に投棄してしまう場合があるそうです。実際、スウェーデン西海岸のビーチでは、2024年にTethered capの義務化が始まってから、ビーチで回収されるプラスチックキャップの数が前年の3倍に増えたそうです。そもそもの目的は「キャップの回収率を上げる」ことでしたが、逆にごみの増加につながっているとは、なんとも皮肉な話です。それにしても、なぜこうなる?政策立案には人間心理の考慮が最重要事項であることを改めて思い知らされます。
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9/3(水)に環境省「脱炭素型循環経済システム構築促進事業」プロジェクト報告シンポジウム-「品質」と「デザイン…
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脱炭素施策に関する研究報告が、公益財団法人福岡アジア都市研究所の紀要『都市政策研究』第26号(2025年3月発…
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論文「ウェルビーイング(新たな都市の評価に関する研究Ⅱ)」が、公益財団法人 日本都市センター主催の「第15回都…
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2024年3月竣工のごみ焼却施設「佐賀東部クリーンエコランド」 *1 を見学しました。この施設は、環境保全や施…
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