Decarbonization

―脱炭素―

脱炭素とは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を削減し、最終的に実質ゼロ(ネットゼロ)を目指す取り組みのことです。再生可能エネルギーの活用や省エネの推進などが含まれ、企業や個人、社会全体の協力が求められます。

なかでも、企業の脱炭素の取り組みは、大きく「個人レベル」と「組織レベル」に分けられます。組織レベルでは、日常業務への取り入れに加え、経営戦略そのものに脱炭素を組み込む動きがあり、後者の方が脱炭素へのインパクトも企業にとってのメリットも大きいと考えられます。日々の省エネ活動に止まらず、企業の中核事業として脱炭素を位置付けることが今や不可欠です。

こうした中で、企業が脱炭素製品やサービスの導入に慎重なのは、「消費者にニーズがないから」とされることが多い一方、実際には「選べる商品やサービスがないために、ニーズが顕在化しにくい」とも考えられます。 「にわとりが先か、たまごが先か」のような関係ですが、まずは企業が選択肢を提示することによって、市場の土台ができ、ニーズの芽も育っていくはずです。

また、特に中小規模の事業者の多くは、脱炭素について『知る・測る・減らす』の取り組みのうち、『知る』段階に取り組んでいる途上にあります。A lutenは、事業者のこうした取り組みを後押しし、脱炭素と経営課題を結びつける実践的な提案を通じて、持続可能なビジネスの構築を支援していきます。

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    2026/3/17
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    【活動報告】廃プラ共同回収に関するワークショップ その1

    福岡アジア都市研究所(URC)からの依頼を受けて進めている研究の一環として、廃プラスチックの共同回収に関する意見交換会(第3回)を、2月5日に開催しました。

    第1回・第2回の意見交換会では、企業連携によるリサイクルのメリットや課題について論点を整理してきましたが、今回は参加者からの「より実践的な検討の場を」という声に応え、議論を一段階先へ進めるための「実践型ワークショップ」として企画されました。行政、金融、教育、そして民間企業といった多様なバックグラウンドを持つ約20名が集まり、廃プラスチックの共同回収に向けた「理想」と「現実」を語り合った記録をお届けします。

    ワークショップは、天神の新設ビルワン・フクオカ・ビルディング(通称ワンビル)の資源庫見学からスタートしました。言わずと知れた、福岡の都心再開発プロジェクト天神ビッグバンの象徴的な建物のひとつです。ここでの目的は、商業施設における資源管理のリアルなオペレーションを理解すること。テナントから排出されるごみや資源物が、どのように集められ、分別され、そして再資源化へとつながっていくのか、その裏側の仕組みを実際の現場で確認しました。

    資源庫では、段ボールや雑誌などの紙類、びん・缶、ガラス、生ごみに加え、ペットボトル、発泡スチロール、軟質プラスチック、硬質プラスチックなどのプラスチック類を含め、合計18種類に分別して回収が行われていました。テナントが資源を搬入する際には、店舗ごとに割り当てられたバーコードを読み取り、資源の種類ごとに計量を行う仕組みになっていました。計量が記録されるとシールが発行され、それを袋に貼付したうえで、かご車ごとに分けられた資源の保管場所に置く運用です。また、搬入できる時間もルール化されており、午前中の2時間と、夕方から夜間にかけての時間帯の1日2回に限定されていました。

     

    こうした運用について説明を受ける中で、多くの参加者が驚いたのは、飲食ごみを扱っているにもかかわらず、ほとんど臭気がなく、全体として非常に清潔な状態が保たれていたことでした。なぜこれが可能なのか。見学を進めるにつれて、その背景となる運用上の工夫が見えてきました。

    まず、設計段階から運用条件についてビルオーナー側と協議が行われており、開業前からテナントへの説明や調整を進めてきたことで、搬入や保管の動線が比較的整理された形で運用されていました。また、ここでは「仕組み」を作るだけでなく、それが適切に運用されるよう、環境整備や事前の指導があわせて行われていました。

    現場で印象的だったのは、物理的な工夫が利用者の行動にも一定の影響を与えているように見えた点です。そのひとつが、週に一度すべてのカートを移動させて行うポリッシャー清掃です。定期的に床面がリセットされ、清潔な状態が保たれていることで、利用する側にも自然と丁寧に使おうとする意識が働いているように感じられました。また、分別品目や搬入時間が明確にルール化されていることも、管理を安定させる要因になっていると考えられます。

    さらに、スタッフが常駐していることで常に人の目がある状態となり、過度ではない緊張感が保たれていました。ごみ置き場を単に管理する場所とするのではなく、利用者にとっても使いやすく整えられていることが、資源の状態を保つことにつながっているように見受けられました。

    施設見学の後は、ワークショップの一環として「ワケルンピック」を実施しました。さまざまなプラスチック素材を実際に手に取りながら分別のコツを体感するこのプログラム。
    その活気あふれる様子は次回の記事でお伝えします。

    なお、本研究の詳細や分析結果については、福岡アジア都市研究所(URC)の報告書として2026年春に公開予定です。公開されましたら、ぜひチェックしてみてください。

  • 2025年もありがとうございました。

    本日が年内最終営業日となりました。
    2025年も多くの皆さまに大変お世話になり、心より御礼申し上げます。

    今年を振り返ると、さまざまな分野で多くの挑戦と学びの機会をいただいた一年でした。
    企業の脱炭素に関しては、行動変容を促すことを目的とした共同事業に取り組み、現場での実践や対話を重ねてきました。

    また、TICAD9に関連する取り組みとして、アフリカにおけるプラスチック循環に関わる多くの方々と出会い、サーキュラーエコノミーの実現に向けた活動をお手伝いする機会にも恵まれました。あわせて、プラスチック循環を促進するための情報連携のあり方についても、実務と研究の両面から検討を進めました。

    今年はあらたに、学校を舞台とした竹製コンポストの設計・制作・運用にも取り組みました。放置竹林という地域資源と、給食から出る生ごみをつなぎ、「廃棄物を資源として循環させる」ことを実感を伴って学ぶ場をつくるという点で、非常に示唆に富む取り組みとなりました。

    国内ではそのほか、リペアを日本の文化として根付かせるための仕組みづくりの検討や、子どもたちの「データを正しく理解する力」「自分で考える力」を育むデータサイエンス講座の開発にも取り組みました。さらに、こうした教育や実践がウェルビーイングの向上にどのように寄与し得るのか、政策への適用可能性についても考える一年となりました。

    これらの取り組みは、決して一人では成し得ないものであり、多くの方々のご協力とご支援のおかげで、貴重な経験を積ませていただきました。あらためて深く感謝申し上げます。

    まだブログやホームページで十分に共有できていない取り組みも多く残っていますが、来年にかけて、少しずつ発信していければと考えています。

    引き続き、皆さまと対話を重ねながら、社会にとって意味のある取り組みを進めてまいります。
    来る年もどうぞよろしくお願いいたします。

    皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。

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    2025/5/1
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    『都市政策研究』第26号に掲載|福岡市×中小企業の脱炭素化レポート

    [脱炭素の取り組み内容に関するアンケート結果]

    脱炭素施策に関する研究報告が、公益財団法人福岡アジア都市研究所の紀要『都市政策研究』第26号(2025年3月発行)に掲載されました。市内中小企業の現場調査に基づき、脱炭素への現状と課題を整理した内容となっています。代表の菊澤は「中小企業の脱炭素の取り組み ― 現状と課題 ―」と題して、脱炭素社会の推進に向けた地域企業の役割と支援策について考察しました。

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    掲載論文情報
    論文タイトル:中小企業の脱炭素の取り組み ― 現状と課題 ―

    掲載誌:公益財団法人福岡アジア都市研究所『都市政策研究』第26号
    発行日:2025年(令和7年)3月
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    【論文要旨】
    GX(グリーントランスフォーメーション)は、国の新たな政策の柱として位置づけられ、新産業創出の契機とされています。しかし、福岡市およびその近隣地域の中小企業の多くは、GXが推し進める技術革新や脱炭素が自社に直接関係するものとは認識しておらず、省エネ設備の導入も主に固定費削減の手段として捉えられているのが実情です。
    本研究では、中小企業の脱炭素化における現状と課題を明らかにするため、既存のアンケートおよびインタビュー調査に加え、独自に実施した調査を通じて、気候変動による影響の程度、脱炭素以外に抱える経営課題、脱炭素化への意識と実施状況、取り組みの動機、さらに推進を妨げる障壁について多角的に分析しました。これにより、脱炭素化の停滞要因や中小企業特有の意識・行動の特徴を掘り下げ、今後の支援策や施策立案への示唆を得ることを目指しています。

    福岡市の未来を見据えた「脱炭素への挑戦」に関心のある方は、ぜひご一読ください。

    詳細は福岡アジア都市研究所の公式サイトにてご確認いただけます。

    都市政策研究(第26号) | 福岡アジア都市研究所(URC)