clear plastic bottle on green grass

Plastic

– プラスチック-

プラスチックは20世紀に入り、人類の生活に革命をもたらした素材です。1950年代には、その軽量性や耐水性から、包装材や製品の製造に広く利用されるようになりました。しかし、その利便性と共に、大規模な環境問題を引き起こす要因となってきました

プラスチックの課題
枯渇資源である化石燃料に依存すること
使用後の不適切な処理により、海洋や陸上の生態系に深刻な影響を与えていること
マイクロプラスチックによる環境や人体への影響が懸念されること
製造・加工・廃棄の過程で、温室効果ガスが排出され、気候変動に影響を与えること
使用済み製品が途上国等に渡り新たな問題を引き起こしていること
手軽に使い・廃棄できることで、線形の経済システムを助長すること

私たちは、次のような視点で、プラスチック問題にアプローチし、社会変革につながる提案・実践を行っています。

– 廃プラスチックを生み出さない生活や事業活動の提案
– ローカルで実施可能で、誰もが参加できる仕組みの構築
– 限られた資源を循環させる、廃プラスチックの有効活用
– これらによって人々のウェルビーイングを向上させる取り組み

  • ✴︎

    2026/6/11
    ✴︎ , , ,

    【研究報告】『ゼロカーボンシティ福岡へ向けた行動変容に関する研究II』報告書が発刊

    『ゼロカーボンシティ福岡へ向けた行動変容に関する研究II』報告書(2025年度URC総合研究報告書)が、公益財団法人福岡アジア都市研究所より発刊されました。

    本報告書では、市民と企業の取組みから得られた知見を整理し、福岡市がゼロカーボンシティを実現するための具体的な手がかりを示しています。

    A lutenでは、本研究報告書の第3章の執筆を担当いたしました。企業の脱炭素行動に関して考察しています。

    掲載論文情報

    • 論文タイトル: ゼロカーボンシティ福岡へ向けた行動変容に関する研究II報告書

    • 掲載誌: 公益財団法人福岡アジア都市研究所『都市政策研究』

    • 発行日: 2026年(令和8年)3月

    • 担当章: 第3章(一般社団法人A luten)

    詳細は福岡アジア都市研究所の公式サイトにてご確認いただけます。ぜひご確認ください。

    ゼロカーボンシティ福岡へ向けた行動変容に関する研究II報告書

  • ✴︎

    2026/6/8
    ✴︎ ,

    【活動報告】波戸岬に誕生した「PLAPLA」を訪問してきました

    6月7日、佐賀県唐津市・波戸岬にオープンした「PLAPLA(プラプラ)」を、オープン初日に訪問してきました。

    今回は、Ocean Circular Architecture(OCA)プロジェクトでご一緒しているイドベタさんにお声がけいただき、福岡から車で現地へ向かいました。貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

    福岡市内を抜けて西へ向かうにつれ、都市部の景観から農村・漁村が広がる風景へと移り変わっていきます。福岡市中心部から車で約1時間半という距離ですが、都市と自然の距離感を実感できる移動でもありました。

    目的地の波戸岬は、玄界灘に向かって大きく突き出した佐賀県を代表する景勝地です。施設はその岬の先端近くに位置しており、緩やかな芝生の斜面の先に、玄界灘と周辺の島々を望むことができます。

    施設自体は決して大規模ではありません。しかし、その限られた空間の中に、「海洋プラスチック問題に取り組む世界初のミュージアム&ラボラトリー」として、展示機能、サイエンスコミュニケーションの場としての役割、そして海洋プラスチックの処理・加工技術が一体的に組み込まれていました。

    特に興味深かったのは、海洋プラスチックの回収から再資源化までの工程を、実際の設備とともに見学できる構成です。

    海岸で回収されたプラスチックを洗浄するスペースが施設の入り口近くに設けられており、その奥には破砕機や真空乾燥機、プレス機など、再資源化に必要な設備が配置されています。

    海洋プラスチックは、長期間海中を漂流・漂着する過程で塩分を含み、貝殻や海藻などが付着していることが多いため、こうした異物を除去する前処理が欠かせません。施設には、大型で厚みのある漁業用ブイも処理できる破砕機が導入されており、その後、加工工程に影響を与える水分を除去するための乾燥工程が設けられています。海洋プラスチックでは、塩分や水分の残留が再生材の加工性や品質に大きく影響するため、この洗浄・乾燥工程が重要な役割を果たしています。

    フレーク状になった材料を加熱・プレスする装置も、体験教室向けの小型のものから、およそ100×150cmほどの大型機まで設置されていました。

    そして、この施設のもう一つの特徴は、サイエンスコミュニケーションを重視した空間設計にあると感じました。

    展示されているオブジェやプロダクトは、海洋プラスチック問題を知識として伝えるだけでなく、来訪者が自然に関心を持ち、対話のきっかけとなるよう工夫されています。自然素材で作られていた昔の漁具と、現在主流となっているプラスチック製漁具の比較展示や、海流や風による海洋プラスチックの移動を可視化した球形展示などは、その代表例です。イドベタさん提供の、ブイスピーカーも取り付けられています。

    また、ワークショップスペースでは、20人程度が同時に海洋プラスチックを使ったプレス成形を体験できるようになっており、この日は多くの子どもたちが参加していました。

    施設に併設されたカフェも印象的でした。地元の農産物を活かしたドリンクや軽食が提供されており、海を眺めながら滞在できる空間となっています。

    特に興味深かったのは、店内で使用されている家具です。海洋プラスチックをプレス加工して製作した板材が家具の素材として活用されており、それぞれ異なる色合いや模様を持っています。また、強度が必要な部分にはステンレスを組み合わせるなど、素材特性に応じた構造設計も取り入れられていました。

    これまで私たちが関わってきた廃プラスチックの再資源化では、射出成形などによる製品化を前提として、安定した品質の再生材をいかに供給するかが議論の中心となることが少なくありませんでした。そのため、色や材質のばらつき、異物の混入などは、できるだけ除去・均質化すべき対象として扱われます。

    一方、PLAPLAで示されていたのは、素材が持つ個々の表情や特性を積極的に価値へ転換するという考え方です。板材として利用し、構造設計で不足する性能を補完する。他素材と組み合わせる。あるいは、混ざり合うことで生まれる色や模様をデザインとして活かす。

    「元の製品に戻す」ことだけを目指すのではなく、海洋プラスチックという素材だからこそ成立する新たな用途や価値の創出が試みられていました。廃プラスチックを燃やさず、より高い付加価値を持つ形で循環させる。その可能性を、技術だけでなく、デザイン、体験、サイエンスコミュニケーションを通じて社会に提示している点が、この施設の特徴であると感じました。

    今回の訪問を通じて、サイエンスコミュニケーションの設計と、従来とは異なる廃プラスチックの加工技術・用途開発という二つの観点から、多くの示唆を得ることができました。

    ちなみに、外には木陰のブランコがあり、通路にはベンチが並び、長居できる雰囲気も素敵でした。

  • ✴︎

    2026/4/26
    ✴︎ , , ,

    【活動報告】廃プラ共同回収に関するワークショップ その2

    廃プラスチックの共同回収に関する意見交換会(第3回)について、前回の記事では、ワン・フクオカ・ビルディング(ワンビル)の最新鋭の資源庫見学についてお伝えしました。
    今回は、盛り上がりをみせた競技型ワークショップ「ワケルンピック」と、パタゴニア福岡でのグループディスカッションについてお伝えしていきます。

    競技型ワークショップ「ワケルンピック」では、店舗等から出された混合資材について、軟質プラスチックを中心に素材や分別基準を実物で確認し、「PP」、「PE」、「その他プラスチック」、「プラスチック以外」の4分類への分別を体験ました。
    実際の様子を動画にてご紹介します。

    【動画URL】https://aluten.jp/wp-content/uploads/2026/04/download-1.mp4

    最初は慎重だった参加者の皆さんも、実物の質感や音を直接確かめるうちに、手際よく作業を進められるように。答え合わせでは驚きや納得の声が上がり、会場は大いに盛り上がりました。
    実際に触れてみることで得られる「新しい発見」は、頭での理解を超えた確かな手応えとなります。五感を通じた体験が、深く刻まれる貴重な時間となりました。

    ワケルンピックで「分別の手触り」を掴んだ後は、場所をパタゴニア福岡へと移しました。環境への深い哲学を持つブランドの空間に身を置くことで、議論はよりクリエイティブで本質的なものへと加速していきます。

    ディスカッションで特に盛り上がったのは、現場のオペレーション負荷をどう軽減するかという点です。 パタゴニアの事例として紹介されたのは、梱包資材をすべて特定の素材(LDPE)に統一し、リサイクルを阻害するテープを廃止するといった「上流での標準化」。 「現場の善意や努力だけに頼るのではなく、迷わなくて済む仕組みを企業連携でいかに作るか」という、社会実装に向けた具体的な視座が共有されました。

    また、回収したプラスチックの「出口」についても熱い議論が交わされました。 単なるリサイクル製品を作るのではなく、「自分たちが分別したプラスチックが、地域の小学校で使われる学用品に生まれ変わる」といった、地域の未来につながるストーリーの重要性が浮き彫りになりました。 自分の行動が地域貢献として可視化されることが、損得勘定を超えた持続可能なインセンティブになる。そんな福岡らしい「共創」の形が見えてきた瞬間でした。

    全3回の意見交換会を締めくくった今回のワークショップ。参加者の皆さんが「自分たちにできること」を具体的に見つけ、意識が変化していく様子がみられました。

    現場の物理的な制約やコストといった「現実」を直視しつつ、バックキャスティングで「理想」の循環モデルを構想したこの数ヶ月。ここで生まれた対話の種は、これから具体的な実装フェーズへと引き継がれていきます。

    現場見学とディスカッションを通じて得られた、この「納得感」こそが、街全体を動かす大きな原動力になると確信しています。

    今回のワークショップを含む研究の分析結果は、福岡アジア都市研究所(URC)の報告書として2026年春に公開予定です。
    脱炭素やサーキュラーエコノミー、福岡市における社会連携の取り組みにご興味のある方はぜひご確認ください。

  • ✴︎

    2026/4/1
    ✴︎ , ,

    【登壇】福岡4/2 Thursday Gathering #64 海洋プラスチックから生まれるデザイン

    明日、天神のど真ん中・ONE FUKUOKA BLDG.で「海の未来」を考えるセッションが開催されます。

    以前ブログでもご紹介した商業施設で、今回はその場所を会場に、糸島や福岡の海で起きている「海洋プラスチック」のリアルに向き合います。

    高校生・現場の実践者・研究者らがそれぞれの立場から話題提供を行い、問題の理解から今後の可能性までを立体的に捉えていきます。

    当法人代表の菊澤も登壇し、プラスチックの基本的な課題や資源としての捉え方についてお話しする予定です。

    現地では海洋プラや学生の活動から生まれた作品の展示もあり、途中参加・見学のみでもご参加いただけます。

    ■ Thursday Gathering #64 海からはじまるイノベーション
    〜糸島・福岡の海洋プラスチックとアップサイクルの可能性〜

    日時:  2026年4月2日(木)18:30–19:20
    場所:  ONE FUKUOKA BLDG. 6F

    詳細・申込はこちら
    https://community.venturecafefukuoka.org/sessions/366

  • ✴︎

    2026/3/17
    ✴︎ , , ,

    【活動報告】廃プラ共同回収に関するワークショップ その1

    福岡アジア都市研究所(URC)からの依頼を受けて進めている研究の一環として、廃プラスチックの共同回収に関する意見交換会(第3回)を、2月5日に開催しました。

    第1回・第2回の意見交換会では、企業連携によるリサイクルのメリットや課題について論点を整理してきましたが、今回は参加者からの「より実践的な検討の場を」という声に応え、議論を一段階先へ進めるための「実践型ワークショップ」として企画されました。行政、金融、教育、そして民間企業といった多様なバックグラウンドを持つ約20名が集まり、廃プラスチックの共同回収に向けた「理想」と「現実」を語り合った記録をお届けします。

    ワークショップは、天神の新設ビルワン・フクオカ・ビルディング(通称ワンビル)の資源庫見学からスタートしました。言わずと知れた、福岡の都心再開発プロジェクト天神ビッグバンの象徴的な建物のひとつです。ここでの目的は、商業施設における資源管理のリアルなオペレーションを理解すること。テナントから排出されるごみや資源物が、どのように集められ、分別され、そして再資源化へとつながっていくのか、その裏側の仕組みを実際の現場で確認しました。

    資源庫では、段ボールや雑誌などの紙類、びん・缶、ガラス、生ごみに加え、ペットボトル、発泡スチロール、軟質プラスチック、硬質プラスチックなどのプラスチック類を含め、合計18種類に分別して回収が行われていました。テナントが資源を搬入する際には、店舗ごとに割り当てられたバーコードを読み取り、資源の種類ごとに計量を行う仕組みになっていました。計量が記録されるとシールが発行され、それを袋に貼付したうえで、かご車ごとに分けられた資源の保管場所に置く運用です。また、搬入できる時間もルール化されており、午前中の2時間と、夕方から夜間にかけての時間帯の1日2回に限定されていました。

     

    こうした運用について説明を受ける中で、多くの参加者が驚いたのは、飲食ごみを扱っているにもかかわらず、ほとんど臭気がなく、全体として非常に清潔な状態が保たれていたことでした。なぜこれが可能なのか。見学を進めるにつれて、その背景となる運用上の工夫が見えてきました。

    まず、設計段階から運用条件についてビルオーナー側と協議が行われており、開業前からテナントへの説明や調整を進めてきたことで、搬入や保管の動線が比較的整理された形で運用されていました。また、ここでは「仕組み」を作るだけでなく、それが適切に運用されるよう、環境整備や事前の指導があわせて行われていました。

    現場で印象的だったのは、物理的な工夫が利用者の行動にも一定の影響を与えているように見えた点です。そのひとつが、週に一度すべてのカートを移動させて行うポリッシャー清掃です。定期的に床面がリセットされ、清潔な状態が保たれていることで、利用する側にも自然と丁寧に使おうとする意識が働いているように感じられました。また、分別品目や搬入時間が明確にルール化されていることも、管理を安定させる要因になっていると考えられます。

    さらに、スタッフが常駐していることで常に人の目がある状態となり、過度ではない緊張感が保たれていました。ごみ置き場を単に管理する場所とするのではなく、利用者にとっても使いやすく整えられていることが、資源の状態を保つことにつながっているように見受けられました。

    施設見学の後は、ワークショップの一環として「ワケルンピック」を実施しました。さまざまなプラスチック素材を実際に手に取りながら分別のコツを体感するこのプログラム。
    その活気あふれる様子は次回の記事でお伝えします。

    なお、本研究の詳細や分析結果については、福岡アジア都市研究所(URC)の報告書として2026年春に公開予定です。公開されましたら、ぜひチェックしてみてください。

  • 2025年もありがとうございました。

    本日が年内最終営業日となりました。
    2025年も多くの皆さまに大変お世話になり、心より御礼申し上げます。

    今年を振り返ると、さまざまな分野で多くの挑戦と学びの機会をいただいた一年でした。
    企業の脱炭素に関しては、行動変容を促すことを目的とした共同事業に取り組み、現場での実践や対話を重ねてきました。

    また、TICAD9に関連する取り組みとして、アフリカにおけるプラスチック循環に関わる多くの方々と出会い、サーキュラーエコノミーの実現に向けた活動をお手伝いする機会にも恵まれました。あわせて、プラスチック循環を促進するための情報連携のあり方についても、実務と研究の両面から検討を進めました。

    今年はあらたに、学校を舞台とした竹製コンポストの設計・制作・運用にも取り組みました。放置竹林という地域資源と、給食から出る生ごみをつなぎ、「廃棄物を資源として循環させる」ことを実感を伴って学ぶ場をつくるという点で、非常に示唆に富む取り組みとなりました。

    国内ではそのほか、リペアを日本の文化として根付かせるための仕組みづくりの検討や、子どもたちの「データを正しく理解する力」「自分で考える力」を育むデータサイエンス講座の開発にも取り組みました。さらに、こうした教育や実践がウェルビーイングの向上にどのように寄与し得るのか、政策への適用可能性についても考える一年となりました。

    これらの取り組みは、決して一人では成し得ないものであり、多くの方々のご協力とご支援のおかげで、貴重な経験を積ませていただきました。あらためて深く感謝申し上げます。

    まだブログやホームページで十分に共有できていない取り組みも多く残っていますが、来年にかけて、少しずつ発信していければと考えています。

    引き続き、皆さまと対話を重ねながら、社会にとって意味のある取り組みを進めてまいります。
    来る年もどうぞよろしくお願いいたします。

    皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。

  • ✴︎

    2025/9/29
    ✴︎ ,

    ペットボトルキャップのリサイクルから見える、日本と欧州のアプローチの違い

    欧州委員会が2019年に発表したプレスリリース(リンクはこちら)を読みながら、ペットボトルのリサイクルに関する日本と欧州の考え方の違いについて改めて考えてみました。

    日本では、以前のブログでも紹介したように、ペットボトルキャップをいったんボトルと分けてから精緻に回収する事例が見られました。通常の容器包装プラスチックのリサイクル施設では、小さすぎるキャップは処理工程で弾かれることが多いのですが、キャップ専用に作られた特殊な設備や機械を使い、異物を取り除いた上で素材や色ごとに選別し、リサイクルする方法です。

    一方、欧州ではアプローチが少し異なります。冒頭のプレスリリースにある通り、2019年に発行され、2024年7月に施行された「使い捨てプラスチック指令(Single-Use Plastics Directive)」により、ペットボトルのキャップがそもそも外れないように設計することが義務化されました。欧州では、プラスチックのリサイクル効率を高めるため、製品段階からリサイクルを意識した設計が推奨されており、これを「Design for Recycling(DfR/リサイクルしやすい設計)」と呼びます。ペットボトルの場合、キャップをボトルに固定したまま回収・リサイクルできる構造が奨励されています。
    (トップ画像参考:CORVAGLIA MOULD AGスイスのコルヴァリア・モールド社)

    さて、ペットボトルとキャップがくっついたままリサイクル施設に持ち込まれた場合、素材の異なる2つをどのように分別するのでしょうか。まず、ペットボトルはキャップごと破砕機にかけられ、3〜5cmほどの破片に破砕されます。その後、比重選別が行われます。比重選別とは、物質の比重(密度)の違いを利用して、異なる素材を分離する方法で、PPやPEは水よりも比重が小さいためキャップは水に浮き、PETは比重が大きいためボトル部分が沈み、自然に分離されます。

    さらに、PPとPEを区別する場合には、近赤外線(NIR)選別が用いられます。NIR選別では、対象のプラスチック破片に近赤外線を照射します。プラスチックは種類ごとに分子構造が異なるため、反射される波長や強さがそれぞれ微妙に変わります。機械はそのパターンを読み取り、PET、PP、PEなどの異なるプラスチックを正確に識別し、分別するのです。

    興味深いのは、ペットボトルリサイクルへの取り組みが、日本では現状を前提に技術で課題を解決しようとするのに対し、欧州では設計や規制を通じて問題を未然に防ごうとする姿勢として表れていることです。

    ただし、この話には続きがあり、欧州では、今回導入されたペットボトルのくっついたキャップ(Tethered cap)が新たな議論を呼んでいるようです。消費者の中には、キャップが口や鼻にあたって飲みにくいと感じる人がいるそうで、そのフラストレーションから、わざわざキャップを外して海に投棄してしまう場合があるそうです。実際、スウェーデン西海岸のビーチでは、2024年にTethered capの義務化が始まってから、ビーチで回収されるプラスチックキャップの数が前年の3倍に増えたそうです。そもそもの目的は「キャップの回収率を上げる」ことでしたが、逆にごみの増加につながっているとは、なんとも皮肉な話です。それにしても、なぜこうなる?政策立案には人間心理の考慮が最重要事項であることを改めて思い知らされます。

  • ✴︎

    2025/8/25
    ✴︎ ,

    海のプラスチックから生まれた「オーシャンスゴエコ袋」

    海岸に打ち上げられる漂着ごみの多くは、漁具や牡蠣養殖パイプ、食品容器などのプラスチック製品です。これまで多くは焼却や埋立で処分され、費用がかかるだけで有効活用されることはほとんどありませんでした。

    そんな海洋プラスチックを再びよみがえらせたのが、「オーシャンスゴエコ袋」です。家庭や企業から出るプラスチックごみ、そして海洋プラスチックを100%リサイクルして作られたごみ袋。海のごみが、再び日常のごみ袋として役立つ――そんなユニークな発想から生まれました。

    袋を光に透かしてみると、黒い斑点が見えることがあります。これはリサイクル素材ならではの模様で、海から戻ってきたプラスチックが新しい形でよみがえった証。そうとらえるとロマンがありますよね。

    実際のごみ袋に求められる強度や使いやすさについても評価が進められており、実用性の高さが期待されています。ここで私たち消費者ができることは何か。黒い斑点にロマンを感じ、多少の欠陥を許容することで、再生プラスチックの市場投入を後押しすることです。

    この「オーシャンスゴエコ袋」の開発を進めているのが、NPO法人木野環境です。廃プラスチックの組成調査などで、お世話になっています。同法人では、漂着プラスチックを種類ごとに選別・破砕し、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などをペレット化する仕組みを整備。こうした取り組みにより、再生原料を袋や建材といった実用品へとよみがえらせています。

    海洋ごみ問題は深刻ですが、「オーシャンスゴエコ袋」はそのごみを「資源」として活かし、地域や社会に循環の仕組みを生み出す試みの象徴です。

    新しいことを始めると賛成も反対もあるものです。日本では他国に比べて、一つの否定的な声で計画が止まってしまうことも少なくありません。もちろん意見を大事にすることは大切ですが、全員一致を待っていたら前に進めないこともあります。

    だからこそ、「まずはやってみる」という小さな一歩が、よりよい社会をつくるきっかけになるのではないでしょうか。海を守る取り組みも、暮らしを変える挑戦も、その始まりはいつも小さな一歩から。

    小さな一歩が積み重なれば、大きな未来につながります。

  • ✴︎

    2025/8/20
    ✴︎ ,

    【お知らせ】NEDOプロジェクト特別講座 第二期 開催中

    2020年度よりスタートしたNEDO「革新的プラスチック資源循環プロジェクト」では、福岡大学を中心に、大学と企業が連携し、廃プラスチックの高度マテリアルリサイクルを目指した研究開発に取り組んできました。

    この成果を基盤として実施されている
    「NEDOプロジェクトを核とした人材育成、産学連携等の総合的展開/
    廃プラスチックの高度物性再生の開発技術者養成に係る特別講座」
    第二期、ただいま第二回(8月20日・21日)を開催中で、テーマは「高分子溶融物性・レオロジー基礎」です。

    そして 明日8月21日(水)10:35~11:35 には、
    A luten代表の 菊澤が登壇し、
    「プラスチック資源循環のための評価フレームワークの構築」 をテーマに講演を行います。

    ぜひご参加ください。


    講座概要

    • 期間:第二期 令和7年7月~令和8年3月 第二回(8月20日・21日)

    • 定員:オンサイト 約30名 / オンライン 約400名

    • 受講料:無料(交通費・宿泊費等は自己負担)

    • プログラムはこちら
    • 申込方法:広報HPより入力
      申込はこちら

  • ✴︎

    2025/5/30
    ✴︎ ,

    【登壇報告】第37回環境工学連合講演会にて講演しました

    2025年5月27日(火)、六本木・日本学術会議講堂にて開催された「第37回環境工学連合講演会」公開シンポジウムに登壇しました。

    本シンポジウムは「先進サスティナブル社会における環境工学の役割」をテーマに、環境・エネルギー・社会システム・教育など多様な分野の専門家が集い、未来志向の研究や取り組みを共有する貴重な場となりました。

    A luten代表の菊澤は、「プラスチック資源循環のための評価フレームワークの構築:サーキュラービジネスモデルの視点から」と題して講演を行い、プラスチック循環の実装を後押しするための評価フレームワークについて報告しました。

    講演会

    当日は、現地とオンラインを合わせて300名を超える方々にご参加いただき、プラスチック循環というテーマへの関心の高さがうかがえました。

    また、質疑応答では、「再生プラスチックを流通させるには、量が先か、質が先か?」という本質的な問いが寄せられ、講演後の意見交換でも関心の高い議題として話題に上がりました。翌日に参加したNEW環境展の会場でもお会いした方々に同様の問いを投げかけたところ、興味深い見解が複数寄せられましたので、ご紹介いたします。

    欧州の環境プラントメーカーの出展者からは、「日本では再生材を目玉商品に用いようとするあまり、初めから高品質を求めすぎている」との指摘がありました。包装材、物流資材、什器など、製品以外の用途も含めて再生材を柔軟に活用していくべき、という意見です。

    さらに、再生プラスチックを扱う商社からは、「高品質な再生材へのニーズは国内でも確実に高まっているが、その品質と量を安定的に確保できる状況にはない」との声も聞かれました。これは、メーカー側が求める品質と供給量のハードルの高さが、普及の妨げとなっている現状を示唆しています。

    今回の講演でご質問くださったのは、再生材を供給されているリサイクラーの方でしたが、同様の課題意識を持たれている様子がうかがえました。講演でも述べたとおり、バリューチェーンのいずれかの段階で「詰まり」が生じていることは明らかです。再生材の価値が市場において認められれば分別排出も進み、高品質な排出や再資源化への協力が得られるはずですが、その評価や需要が曖昧なままでは、主体的な協力は得にくいのが現状です。

    今回の登壇を通じて得られた気づきやフィードバックを、今後の研究と社会実装の方向づけにしっかりと活かしていきたいと考えております。

    最後に、このような貴重な機会をいただきました日本学術会議 環境学委員会 環境科学・環境工学分科会の皆さま、本会議へのご推薦をいただきました廃棄物資源循環学会の皆さま、そしてご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。