
Circular Economy
―サーキュラーエコノミー―
サーキュラーエコノミーとは、従来の「作り、使い、捨てる(Take-Make-Waste)」という線形の経済モデルとは異なり、有限な資源の投入を減らし、一旦投入された資源は最大限に活かし、廃棄物を最小限に抑える持続可能な循環型の経済モデルです。循環の輪を、狭める、ゆっくりにする、閉じる、再生する、知らせるという方法で、製品の設計から、製造、商品・サービスの提供、消費、廃棄までのプロセスの最適化を進めます。
サーキュラーエコノミーは新たなビジネスモデルやイノベーションの機会を生み出し、新たな雇用機会を提供する可能性を秘めています。廃棄物を資源として再利用することで、資源効率の高い、すなわち経済効率の高い新たな産業やサービスが生まれ、経済の多様性と持続可能性が高まることが期待されています。
サーキュラーエコノミーが実現されると、人々の社会経済活動は、モノやサービスの循環の中にすっぽりと取り込まれます。これにより、持続的な地球と人々のウェルビーイングがもたらされることが期待されます。

Source: Ellen MacArthur Foundation, Circular economy systems diagram (Feb2019) をもとに作成
-
✴︎
2026/1/29修理についてのアンケート調査を実施しました

一般社団法人A lutenは、「資源循環の媒介役」として、人と人、モノとモノをつなぐ活動をしています。このたび、資源循環を実現するために「修理(リペア)」に焦点を当てた約2,000人規模の調査を実施しました。なぜ修理に注目したのか、まずその背景についてお話しします。
実はリサイクルに偏っている日本の3R
日本では1990年代から「リデュース」「リユース」「リサイクル」の3R概念が広まり、循環型社会づくりが進められてきました。環境省は環境負荷の低い順に「リデュース」「リユース」(修理はここに含まれます)を優先すべきとしていますが、実際は環境負荷の高い「リサイクル」に重きが置かれているのが現状です。

近年注目されている「サーキュラーエコノミー(循環経済)」は、従来の「作る→使う→捨てる」という一方通行ではなく、資源や製品の価値をできるだけ長く保つ新しい経済システムです。ここで特に重要なのが、リデュースに続き、製品を長く使い続けるリユースなのです。
実は浸透していない「修理」という選択肢
フリマアプリの登場やリユースショップの増加により、日本のリユース市場は拡大傾向にあります。しかし、「修理」という選択肢はまだまだ浸透していません。
総務省家計調査のデータを見ると、修理関連の年間支出の80%以上が住宅や自動車などの大型修理に使われており、文具、バッグ、玩具といった生活用品の修理はわずか2%にとどまっています。
住宅や車については修理を日常的に行っていても、身の回りのモノを「修理する」という発想が、まだ一般的ではないのです。
なぜモノの修理は広まらないのか?
修理が普及しない理由は複雑です。現代社会では安くて手軽に買い替えられる環境が当たり前になり、モノを修理して長く使う習慣が根付いていません。利用者側からは、「修理より買い替えの方が安くて早い」「どこで修理できるのかわからない」「修理店に持っていくのが面倒」といった声が聞かれます。
こうした様々な課題が重なって、修理の文化が十分に形成されていないのが実情です。私たちA lutenは、「壊れたら捨てる」から「直して長く使う」文化への転換を目指し、修理のニーズやハードルを把握する調査を実施しました。
修理の必要性を感じた人は少数派
本調査は、20代から70代以上までを対象に合計2,000人、各年代から概ね300〜400人程度の回答を得ました。
調査の結果、過去2〜3年の間に修理経験がある人は全体の約2割に留まり、続く約2割は必要性を感じながらも修理を行っていないことが判明しました。残りの6割は修理を行ったことも、必要性を感じたこともなかったのです。

次回は、この調査結果の続きをご紹介します。
-
✴︎
2026/1/21竹を使ったコンポストプロジェクト その6(最終回)~検証!究極の竹堆肥でほうれん草は育つ?後編~

前編ブログでは、竹コンポストでできた堆肥を畑に施し、条件を分けてほうれん草を種まきするところまでを記録しました。
今回はその続きとして、発芽から生育の経過を追いながら、種まきから58日目、収穫までの歩みを林田産業さんの記録を交えて一気に振り返ります。-
発芽(8日目): すべての区画で無事に発芽がそろいました。この時点では、どの区画も大きな差はありませんでした。
-
本葉の展開(15日目): 早くも差が出始めます。化学肥料区は安定して成長していましたが、コンポスト堆肥区と無施肥区は成長が停滞し始めました。
-
明暗分かれた中期(32日目): 化学肥料区が順調に育つ一方で、無施肥区は消滅し、コンポスト堆肥区も虫食いや成長不良で全滅に近い状態となりました。
- 最終結果(58日目): 最終的に収穫期まで育ったのは「化学肥料区」のみでした。本葉が8〜10枚まで育ちましたが、残念ながらコンポスト堆肥区では収穫に至る成果は得られませんでした。

今回の実験を通じて、資源循環の「難しさ」と「可能性」の両面が見えてきました。
給食残渣を焼却せず、堆肥として畑へ戻す「資源循環の流れ」を具体的に確認できたことは大きな成果です。しかし、今回の竹コンポスト堆肥だけでは、ほうれん草の初期生育に必要な窒素分などの養分が不足していた可能性が高いと考えています。 生ごみを魔法のように消し去ってくれるコンポストですが、そこから生まれる堆肥は、あくまで元となる野菜くずの栄養から得られたものです。「魔法の肥料」ではなく、作物の種類や生育段階に合わせ、他の肥料と適切に組み合わせて使う必要があるという重要な示唆が得られました。
タイプA(土置き型)のコンポストでアリが多く見られたように、分解過程での温度・湿度・投入物のバランスが堆肥の質に直結します。次回の運用では、これらの内部環境をより適切に管理することが課題となります。
役目を終えた2基のコンポストを解体し、竹材の劣化や接合部の状態を点検しました。実際に使ってみることで、それぞれのモデルの長所と短所が明確になりました。
- タイプA(土置き型): 地面直置きで分解は進むが、底が深く「撹拌(かき混ぜ)作業」が難しい。
- タイプB(脚付き型): 麻袋を使い「可動性」や「取り出しやすさ」には優れるが、容量や耐久性に課題。
これらの経験を活かし、今後は両者の長所を掛け合わせたハイブリッドモデルの開発を目指します。
今回のブログで、竹コンポストに関する記録は完結です。設計から製作、堆肥づくり、そして栽培実験までの一連の工程を通じて、多くの発見と学びがありました。
実証実験の結果は、成功も失敗も含めて次なる資源循環プロジェクトへの貴重な第一歩です。何より、児童、教職員、企業(林田産業さん)、地域協力者が一丸となって取り組んだこのプロセスは、今後の環境学習の強固な基盤となりました。今回得られた気づきを、これからの活動や未来の資源循環へとつなげていきます。
協力してくださった皆さま、本当にありがとうございました! -
-
✴︎
2025/12/262025年もありがとうございました。

本日が年内最終営業日となりました。
2025年も多くの皆さまに大変お世話になり、心より御礼申し上げます。今年を振り返ると、さまざまな分野で多くの挑戦と学びの機会をいただいた一年でした。
企業の脱炭素に関しては、行動変容を促すことを目的とした共同事業に取り組み、現場での実践や対話を重ねてきました。また、TICAD9に関連する取り組みとして、アフリカにおけるプラスチック循環に関わる多くの方々と出会い、サーキュラーエコノミーの実現に向けた活動をお手伝いする機会にも恵まれました。あわせて、プラスチック循環を促進するための情報連携のあり方についても、実務と研究の両面から検討を進めました。
今年はあらたに、学校を舞台とした竹製コンポストの設計・制作・運用にも取り組みました。放置竹林という地域資源と、給食から出る生ごみをつなぎ、「廃棄物を資源として循環させる」ことを実感を伴って学ぶ場をつくるという点で、非常に示唆に富む取り組みとなりました。
国内ではそのほか、リペアを日本の文化として根付かせるための仕組みづくりの検討や、子どもたちの「データを正しく理解する力」「自分で考える力」を育むデータサイエンス講座の開発にも取り組みました。さらに、こうした教育や実践がウェルビーイングの向上にどのように寄与し得るのか、政策への適用可能性についても考える一年となりました。
これらの取り組みは、決して一人では成し得ないものであり、多くの方々のご協力とご支援のおかげで、貴重な経験を積ませていただきました。あらためて深く感謝申し上げます。
まだブログやホームページで十分に共有できていない取り組みも多く残っていますが、来年にかけて、少しずつ発信していければと考えています。
引き続き、皆さまと対話を重ねながら、社会にとって意味のある取り組みを進めてまいります。
来る年もどうぞよろしくお願いいたします。皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。
-
✴︎
2025/12/25竹を使ったコンポストプロジェクト その5~検証!究極の竹堆肥でほうれん草は育つ?前編~

コンポストでの堆肥づくりを記録してからしばらく時間が空いてしまいましたが、その間も竹コンポストの中では分解が静かに進み、夏休みの期間を使って十分に熟した堆肥ができあがっていました。
今回は、竹コンポストでできた堆肥を実際の畑に施肥し、野菜の育ち方にどんな違いが出るのかを確かめた実験を、少し時間をさかのぼって振り返ります。コンポストを畑にすき込んだのは夏休み明けの9月、種を蒔いたのは10月のことになりますが、経過と結果を整理するため、ここで改めて記録していきます。
使用した竹コンポストはA(土置き型)とB(脚付き型)の2基で、どちらも投入を終えてからかなり時間が経過していました。中を確認すると、堆肥の量は当初より減り、しっかり完熟した状態になっていました。まずは、この2基分の堆肥を、竹コンポストに隣接する畑へ移します。
竹コンポストA(土置き型)の中は、見た目にも分解がよく進んでおり、においもなく扱いやすい状態でした。堆肥は畑へ運び、表面にまいて軽くすき込みました。この作業の際、コンポストの中にアリの巣ができていたようで、堆肥を畑に運ぶときにたくさんのアリも一緒に移動してしまいました。一般的に、適切に管理されたコンポストの中は温度や湿度が高いため、アリが住みつくことはあまりありません。投入していた生ごみは野菜くずのみで、ごはんやパン、油分の多い食品などは入れていなかったため、糖分などに引き寄せられたとは考えにくい状況でした。今回のケースでは、分解がひと段落して温度が下がったタイミングで、コンポスト内が乾燥し、アリにとって居心地のよい環境になってしまった可能性があります。また、今回使用したコンポストは土置き型で、地面と直接つながっている構造のため、周囲の土壌からアリが入りやすかったことも影響していそうです。子どもたちの中には虫が苦手な子もいます。スコップや棒でつっつきながらも何とか土とたわむれて?くれました。

コンポストA(土置き型)の様子
続いて竹コンポストB(脚付き型)です。こちらは麻袋に入れたまま畑へ運び、袋をひっくり返してそのまますき込みました。

コンポストB(脚付き型)の様子 こうして竹コンポストA・Bともに中は空になり、堆肥づくりの一区切りと、畑での新しい段階につながりました。
今回は、作物の成長の違いを確認するために、林田産業さんが比較実験区画を設定してくださいました。
同じ畑の中で、次の3つの区画を並べて設定しました。
-
元肥とほうれん草用の化学肥料を施した区画(黄色部分)
-
竹コンポストの堆肥のみを施した区画(緑色部分)
-
何も施さない区画(無色部分)
いずれも同じ品種のほうれん草を育てることで、肥料の違いが生育にどのような影響を与えるのかを比較できるようになっています。

その後、10月にほうれん草の種まきを行いました。
子どもたちは、ほうれん草の赤い種を受け取り(トップ画像)、指を広げた手を目安にして、指と指の間隔ごとに播種する方法を教わり、丁寧に作業を行いました。

こうして、竹コンポスト堆肥が実際の栽培でどのように働くのかを確かめる実験が始まりました。
次回は、発芽から58日目までのほうれん草の生育を振り返りながら、時間をかけて作った竹コンポスト堆肥がどのような結果をもたらしたのかを、まとめて考察していきます。 -
-
✴︎
2025/10/16竹製コンポストがイオンモールで紹介されました

以前からお伝えしている小学校での竹製コンポストの取り組みでの子どもたちの活動が、イオンモール福津で開催された「サステナフェス」にて紹介されました。
サステナフェスは宗像・福津・古賀地域の学校や企業、市民団体などがサステナビリティに関する取り組みを展示するイベントで、竹製コンポストの取り組みも学校の環境学習の一つとして掲示されました。会場では、子どもたちが観察してきた様子や、竹と野菜くずだけで進む堆肥化の過程が写真とともに紹介され、地域の方々にも注目されました。学校内での学びが地域に広がる機会となっています。

我々を含む民間企業や団体が学校に出向いて出張授業を行ったり、プロジェクトを合同で実施し、さらにそれらの取り組みが地域の拠点であるイオンモールで紹介されることは、学校と地域が自然に連携していることを感じさせます。先生は授業を通じて多様なアプローチで知識や経験を提供しますが、地域で活動する企業や団体が実務に基づく話題や機会を提供することで、子どもたちはよりリアルな体験として記憶に残すことができるのではないかと思います。
対象の小学校はコミュニティスクールに認定されており、今回の取り組み以外でも地域とつながる機会が多く提供されています。さらに、イオンモール福津でのサステナフェスのように、地域イベントや個人店が学校や市民とつながる場となる仕組みも非常に意義深いと感じます。子どもたちの活動が地域で可視化され、関心を持つ大人たちとつながることで、学びは教室内に留まらず、地域全体で循環する価値ある体験へと広がりそうです。
-
✴︎
2025/9/29ペットボトルキャップのリサイクルから見える、日本と欧州のアプローチの違い

欧州委員会が2019年に発表したプレスリリース(リンクはこちら)を読みながら、ペットボトルのリサイクルに関する日本と欧州の考え方の違いについて改めて考えてみました。
日本では、以前のブログでも紹介したように、ペットボトルキャップをいったんボトルと分けてから精緻に回収する事例が見られました。通常の容器包装プラスチックのリサイクル施設では、小さすぎるキャップは処理工程で弾かれることが多いのですが、キャップ専用に作られた特殊な設備や機械を使い、異物を取り除いた上で素材や色ごとに選別し、リサイクルする方法です。
一方、欧州ではアプローチが少し異なります。冒頭のプレスリリースにある通り、2019年に発行され、2024年7月に施行された「使い捨てプラスチック指令(Single-Use Plastics Directive)」により、ペットボトルのキャップがそもそも外れないように設計することが義務化されました。欧州では、プラスチックのリサイクル効率を高めるため、製品段階からリサイクルを意識した設計が推奨されており、これを「Design for Recycling(DfR/リサイクルしやすい設計)」と呼びます。ペットボトルの場合、キャップをボトルに固定したまま回収・リサイクルできる構造が奨励されています。
(トップ画像参考:CORVAGLIA MOULD AGスイスのコルヴァリア・モールド社)さて、ペットボトルとキャップがくっついたままリサイクル施設に持ち込まれた場合、素材の異なる2つをどのように分別するのでしょうか。まず、ペットボトルはキャップごと破砕機にかけられ、3〜5cmほどの破片に破砕されます。その後、比重選別が行われます。比重選別とは、物質の比重(密度)の違いを利用して、異なる素材を分離する方法で、PPやPEは水よりも比重が小さいためキャップは水に浮き、PETは比重が大きいためボトル部分が沈み、自然に分離されます。
さらに、PPとPEを区別する場合には、近赤外線(NIR)選別が用いられます。NIR選別では、対象のプラスチック破片に近赤外線を照射します。プラスチックは種類ごとに分子構造が異なるため、反射される波長や強さがそれぞれ微妙に変わります。機械はそのパターンを読み取り、PET、PP、PEなどの異なるプラスチックを正確に識別し、分別するのです。
興味深いのは、ペットボトルリサイクルへの取り組みが、日本では現状を前提に技術で課題を解決しようとするのに対し、欧州では設計や規制を通じて問題を未然に防ごうとする姿勢として表れていることです。
ただし、この話には続きがあり、欧州では、今回導入されたペットボトルのくっついたキャップ(Tethered cap)が新たな議論を呼んでいるようです。消費者の中には、キャップが口や鼻にあたって飲みにくいと感じる人がいるそうで、そのフラストレーションから、わざわざキャップを外して海に投棄してしまう場合があるそうです。実際、スウェーデン西海岸のビーチでは、2024年にTethered capの義務化が始まってから、ビーチで回収されるプラスチックキャップの数が前年の3倍に増えたそうです。そもそもの目的は「キャップの回収率を上げる」ことでしたが、逆にごみの増加につながっているとは、なんとも皮肉な話です。それにしても、なぜこうなる?政策立案には人間心理の考慮が最重要事項であることを改めて思い知らされます。
-
✴︎
2025/9/4竹を使ったコンポストプロジェクト その4~分解~

前回のブログから少し間があきましたが、福津市内の小学校で取り組んでいる竹製コンポストの経過をお伝えします。
夏休みに入る前までに、子どもたちは4回にわたり野菜くずを投入し、発酵の進み具合を観察しました。実は第1週目は、竹製コンポストの準備が整っていなかったため、プラスチックコンテナを代わりの容器として用い、1週間様子を見ました。衣装ケース大のプラスチックコンテナで、蓋をして1週間保管したため、嫌気性の(酸素が少ない環境で微生物が有機物を分解する)状態で堆肥化が進みました。その結果、コンポストの中で白い綿のような糸状菌(カビの仲間)が広がっているのを確認。これは、微生物が野菜くずを分解しようと活発に活動しているサインなので問題ではありませんが、これほど目に見えて糸状菌が見えるのは水分が多く、酸素が不足していることが考えられます。
そして第2週目以降、竹製コンポストが設置され、プラスチックコンテナで1週間分解されたコンポストを移し、さらに新たな生ごみを給食室からもらい投入しました。一般的なコンポストと比較して、分解速度がやや遅い傾向が見られましたが、徐々に分解が進んできたことが確認されました。
実は、コンポストに関わる微生物はとても多様です。最初に登場するのはカビや糸状菌で、繊維質の多い皮や茎などを分解するのが得意です。その後、細菌や放線菌といった微生物たちが加わり、少しずつ複雑な有機物を分解し、最終的には植物が育つための栄養たっぷりの堆肥へと変化していきます。いわば「微生物のリレー」のような働きが、コンポストの中で進んでいるのです。

コンポストの基本理論(高倉, 2019)を参考にA luten作成1週目で確認した糸状菌の姿から、このリレーを想像しつつ、引き続きコンポスト観察を楽しみたいと思います。竹と野菜くずだけというシンプルな材料で、どのように堆肥化が進むのか――夏休み明けの経過についてもまたご紹介します。
-
✴︎
2025/8/25海のプラスチックから生まれた「オーシャンスゴエコ袋」

海岸に打ち上げられる漂着ごみの多くは、漁具や牡蠣養殖パイプ、食品容器などのプラスチック製品です。これまで多くは焼却や埋立で処分され、費用がかかるだけで有効活用されることはほとんどありませんでした。
そんな海洋プラスチックを再びよみがえらせたのが、「オーシャンスゴエコ袋」です。家庭や企業から出るプラスチックごみ、そして海洋プラスチックを100%リサイクルして作られたごみ袋。海のごみが、再び日常のごみ袋として役立つ――そんなユニークな発想から生まれました。
袋を光に透かしてみると、黒い斑点が見えることがあります。これはリサイクル素材ならではの模様で、海から戻ってきたプラスチックが新しい形でよみがえった証。そうとらえるとロマンがありますよね。

実際のごみ袋に求められる強度や使いやすさについても評価が進められており、実用性の高さが期待されています。ここで私たち消費者ができることは何か。黒い斑点にロマンを感じ、多少の欠陥を許容することで、再生プラスチックの市場投入を後押しすることです。
この「オーシャンスゴエコ袋」の開発を進めているのが、NPO法人木野環境です。廃プラスチックの組成調査などで、お世話になっています。同法人では、漂着プラスチックを種類ごとに選別・破砕し、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などをペレット化する仕組みを整備。こうした取り組みにより、再生原料を袋や建材といった実用品へとよみがえらせています。
海洋ごみ問題は深刻ですが、「オーシャンスゴエコ袋」はそのごみを「資源」として活かし、地域や社会に循環の仕組みを生み出す試みの象徴です。
新しいことを始めると賛成も反対もあるものです。日本では他国に比べて、一つの否定的な声で計画が止まってしまうことも少なくありません。もちろん意見を大事にすることは大切ですが、全員一致を待っていたら前に進めないこともあります。
だからこそ、「まずはやってみる」という小さな一歩が、よりよい社会をつくるきっかけになるのではないでしょうか。海を守る取り組みも、暮らしを変える挑戦も、その始まりはいつも小さな一歩から。
小さな一歩が積み重なれば、大きな未来につながります。
-
✴︎
2025/8/20【お知らせ】NEDOプロジェクト特別講座 第二期 開催中

2020年度よりスタートしたNEDO「革新的プラスチック資源循環プロジェクト」では、福岡大学を中心に、大学と企業が連携し、廃プラスチックの高度マテリアルリサイクルを目指した研究開発に取り組んできました。
この成果を基盤として実施されている
「NEDOプロジェクトを核とした人材育成、産学連携等の総合的展開/
廃プラスチックの高度物性再生の開発技術者養成に係る特別講座」
第二期、ただいま第二回(8月20日・21日)を開催中で、テーマは「高分子溶融物性・レオロジー基礎」です。そして 明日8月21日(水)10:35~11:35 には、
A luten代表の 菊澤が登壇し、
「プラスチック資源循環のための評価フレームワークの構築」 をテーマに講演を行います。ぜひご参加ください。
講座概要
-
✴︎
2025/8/7竹を使ったコンポストプロジェクト その3~コンポスト設置・投入~

前回に引き続き、小学校における竹材を使ったコンポストの取り組みについて紹介します。
前回のブログで紹介した2種類の竹製コンポスト(土置き型と脚付き型)を、福岡県福津市内の小学校に設置しました。
6月下旬から給食委員会の5・6年生による運用がスタート。6年生は土置き型、5年生は脚付き型のコンポストを使い、週1回、給食の野菜くずを投入して堆肥づくりに取り組んでいます。活動初日、子どもたちは1日で数キロの野菜くずが出ることに驚き、日々の給食で生まれる「ごみ」の量に、資源としての重みを実感していました。
夏休みに入るまでの週1回の委員会活動にて野菜くずをコンポストに投入し、そのたびにスコップでしっかりと混ぜながら、発酵の進み具合を観察します。においや水分の調整には、竹から作られた自然素材「竹肥姫(たけひめ)」を使用。湿気を吸収し、分解を助ける調整材として活躍しています。

竹肥姫(たけひめ)(株式会社林田産業HPより) このコンポストの最大の特徴は、放置竹林などの問題を抱える「竹」を有効活用している点です。容器自体に竹を用い、さらに堆肥を作る基材にも「竹のみ」を使用しています。一般的に使われる種菌などは一切加えず、竹と野菜くずだけで自然の分解を促そうという試みです。私たちも、様々なコンポストを試してきた経験がありますが、竹粉のみを基材にして堆肥化を行うのは大変珍しい取り組みと言えます。どのような結果になるのか今から楽しみです。
初回の投入から1週間が経過し、中を確認したところ、ニンジンや玉ねぎの皮がほとんど原形をとどめており、分解はまだあまり進んでいない様子でした。このことから、一般的なコンポストと比較して、分解速度がやや遅い傾向が見られると考えられます。ただし、これは、発酵促進のための微生物(いわゆる種菌)を添加していないため、分解に適した微生物が十分に定着しておらず、立ち上がりに時間がかかっている可能性があります。特に、竹や乾燥した有機物を基材とした場合、炭素と窒素のバランス(C/N比)が偏りやすく、初期段階では好気性分解が進みにくくなると考えられます(このあたりの基礎知識については、また別の機会に詳しくご紹介できればと思います)。
今後も継続的に生ごみを投入していくことで、自然環境中から微生物が徐々に導入され、分解環境に適応した菌種が優占するようになると考えられます。その過程で、分解のスピードも次第に安定してくる可能性があるため、引き続き経過を観察していきたいと思います。
今後、コンポスト内の様子がどのように変化していくのか、引き続きご紹介していきます。
