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2025/5/8【登壇】5/27東京・オンライン開催 │ 第37回環境工学連合講演会
5月27日(火)、六本木の日本学術会議講堂にて公開シンポジウムが開催されます。環境・エネルギー・社会システム・教育など、幅広い分野の第一線で活躍する専門家たちが、新社会の構築に向けた研究について発表、話題提供を行います。代表の菊澤は「プラスチック資源循環のための評価フレームワークの構築:サーキュラービジネスモデルの視点から」と題し、11:20からの回で講演します。
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第37回環境工学連合講演会開催概要
テーマ:先進サスティナブル社会における環境工学の役割
会 期:2025年(令和7年)5月27日(火)
会 場:日本学術会議講堂 +オンライン(Zoom)
参加費:無料
主 催 : 日本学術会議 環境学委員会環境科学・環境工学分科会
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本イベントでは、カーボンニュートラルの社会実装、脱炭素社会の実現への道筋、エネルギー供給システムの在り方について、活発な討論の場を提供。持続可能な未来に向けた「科学技術の現在地」と「これから」を探ります。お誘い合わせの上ぜひご参加ください。
事前の参加登録が必要となります。
詳細は日本学術会議のサイトでご確認ください。
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2025/5/1『都市政策研究』第26号に掲載|福岡市×中小企業の脱炭素化レポート
[脱炭素の取り組み内容に関するアンケート結果]
脱炭素施策に関する研究報告が、公益財団法人福岡アジア都市研究所の紀要『都市政策研究』第26号(2025年3月発行)に掲載されました。市内中小企業の現場調査に基づき、脱炭素への現状と課題を整理した内容となっています。代表の菊澤は「中小企業の脱炭素の取り組み ― 現状と課題 ―」と題して、脱炭素社会の推進に向けた地域企業の役割と支援策について考察しました。
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掲載論文情報
論文タイトル:中小企業の脱炭素の取り組み ― 現状と課題 ―掲載誌:公益財団法人福岡アジア都市研究所『都市政策研究』第26号
発行日:2025年(令和7年)3月
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GX(グリーントランスフォーメーション)は、国の新たな政策の柱として位置づけられ、新産業創出の契機とされています。しかし、福岡市およびその近隣地域の中小企業の多くは、GXが推し進める技術革新や脱炭素が自社に直接関係するものとは認識しておらず、省エネ設備の導入も主に固定費削減の手段として捉えられているのが実情です。
本研究では、中小企業の脱炭素化における現状と課題を明らかにするため、既存のアンケートおよびインタビュー調査に加え、独自に実施した調査を通じて、気候変動による影響の程度、脱炭素以外に抱える経営課題、脱炭素化への意識と実施状況、取り組みの動機、さらに推進を妨げる障壁について多角的に分析しました。これにより、脱炭素化の停滞要因や中小企業特有の意識・行動の特徴を掘り下げ、今後の支援策や施策立案への示唆を得ることを目指しています。福岡市の未来を見据えた「脱炭素への挑戦」に関心のある方は、ぜひご一読ください。
詳細は福岡アジア都市研究所の公式サイトにてご確認いただけます。
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2025/4/30【受賞報告】ウェルビーイング(新たな都市の評価に関する研究Ⅱ)が「都市調査研究グランプリ」奨励賞を受賞
論文「ウェルビーイング(新たな都市の評価に関する研究Ⅱ)」が、公益財団法人 日本都市センター主催の「第15回都市調査研究グランプリ(CR-1グランプリ)」にて、政策応用部門 奨励賞を受賞しました。本研究は、都市における“幸福”のあり方を問い直し、自治体がウェルビーイングを政策にどう組み込むかを体系的に分析したものです。論文は福岡アジア都市研究所( URC)の山田研究主査とともに、一般社団法人A lutenの代表菊澤による共著です。
受賞に際し、日頃よりご支援いただいている皆さまへ感謝を申し上げるとともに、今後の研究・実践に一層邁進してまいります。[授賞式の様子┃日本都市センター CR1グランプリ 奨励賞受賞 | 福岡アジア都市研究所(URC) ]
都市調査研究グランプリとは
全国の都市自治体や職員が主体となって行った優れた調査研究を表彰する制度であり、都市の行財政運営に資する実践的な知見を広く共有することを目的としています。
研究内容と評価ポイント
本研究では、ウェルビーイングという主観的な概念を都市政策へ導入する方法について検討を行いました。具体的には、ロジックモデルに基づき、ウェルビーイングの政策形成を助ける「政策的フレームワーク」を構築し、最終的なゴール(インパクト)の設定から、ゴールの実現に強く影響を及ぼすアウトカムの設定、具体的な施策の立案・実施までの流れを理論的に導出しました。
また、2023年に URCにて実施したアンケート分析において、仕事を中心とする日常の主な活動の充実が人々のウェルビーイングに強く影響を与えていることを明らかにしました。
審査講評では、以下のような点が高く評価されました:
- ウェルビーイングに関する概念整理と先行研究の精緻な検討
- 自治体の基本計画への応用に向けた具体的な視点の提示
- 政策的フレームワークの構築と他自治体への汎用性
都市の多様な課題に対して、“人の幸福”を軸にどう応えていけるか。研究と現場をつなぐかたちで、いただいた成果を自治体や企業など多様なパートナーと共有し、より良い都市づくりに生かしていけるよう、今後も取り組みを続けてまいります。
第15回都市調査研究グランプリ(CR-1グランプリ)表彰式 | 公益財団法人日本都市センター
報告書のダウンロードはこちら:https://urc.or.jp/report/publications/2023sougou-wb/
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ごみ焼却施設「佐賀東部クリーンエコランド」の見学
2024年3月竣工のごみ焼却施設「佐賀東部クリーンエコランド」 *1 を見学しました。この施設は、環境保全や施設の耐久性・安全性の向上を基本方針としており、浸水対策や環境教育・啓発にも力を入れています。施設の動線や担当者の説明から、教育的要素に配慮していることを感じました。
施設内の見学動線は広く、わかりやすい動画などによる説明が随所に設けられています。施設の各部門、例えば、ごみ清掃車がごみを投入する入り口や、ごみをためる「ピット」、ごみが焼却される場所(ここはイメージ動画のみで実際に見ることはできません)などが見学できます。
今回特に関心を持ったのは、ごみの組成による燃えやすさや燃えにくさの違いや、組成の変化がどのように焼却に影響するのか、という点です。
「ごみは減らさなくても良い、燃やせば灰しか残らないから問題ない」、「特にプラスチックは燃えやすいので、分別せずに焼却してしまえば良い」という意見も見受けられます。これらは焼却を前提とした議論の中で出てくる意見であり、ごみの分別や減量を進める立場からすると、なかなか納得できない部分もあります。
実際にごみの組成と焼却の関係性について詳しく尋ねたところ、現在のごみの組成(紙類が40%、プラスチックが30%、生ごみが20%、その他が10%)を考えると、基本的にはごみは自燃し続けるそうです。焼却処理施設の設計時には、発電効率やごみ組成の幅、さらには災害ごみの受け入れなどを考慮して高い処理能力が確保されており、例えば、プラスチックのごみがゼロになるような劇的な変化がなければ問題が発生することはないとのことでした。
しかし、焼却処理施設の寿命と考えられている30年の間に自治体のごみ政策が大きく変わる可能性も考えられます。例えば、生ごみが減ってプラスチックなどカロリーの高いもの(燃えやすいもの)ばかりになると、炉内の温度が高くなりすぎるため、ごみの投入量を減らしたり、一時的に水を散水して温度を下げたり、カロリーの低い(燃えにくい)ごみと一緒に投入したりする必要が出てくるそうです。逆に、プラスチックの分別が進み、生ごみばかりになると、助燃剤の使用が必要となる可能性があり、その場合、燃料の投入費用が増加し、CO2排出量も増えることになります。
大きな処理能力の施設を建ててしまうと、ごみを常に一定量投入する必要があるため、稼働から20-30年間のごみの量の変動を予測しないといけません。高い処理能力が確保されていると、それに見合った運用が必要であり、ごみ減量の動機が薄れる恐れがあります。
[ごみピット・ごみクレーン(定期的にこちらからあちらへ、あちらからこちらへごみをひとつかみずつ移動させることでカロリー(燃えやすさ)を均一にします)]
ごみ管理は、国民の基本的な衛生と生活環境維持の基盤となる欠かせない要素です。処理能力が過剰にならないように調整する一方で、ごみの適切な処理が滞ることなく、30年後のごみ組成やCO2排出量を見据えた施設設計を行うことの難しさを体感しました。
そのほかにも、アップサイクル*2製品の展示等、持続可能な資源循環のあり方についても考えさせられる見学となりました。ごみの処理は単なる焼却ではなく、地域の環境や経済にも関わる重要な課題です。今後も、ごみと向き合い、ごみについて語りつつ、より良い社会の実現に向けて考えてまいります。
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*1佐賀東部クリーンエコランド: 佐賀県東部環境施設組合が運営するごみ焼却施設、鳥栖市・神埼市・吉野ヶ里町・上峰町・みやき町のごみを受け入れる。
*2アップサイクル:本来は捨てられるはずの製品に新たな価値を与えて再生すること
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2025/1/30内閣府向け講演報告「ウェルビーイングの政策への適用プロセス」
内閣府職員に向けた研修にて、ウェルビーイング(WB)*1に関する講演を行いました。内閣府では、長年、国民の価値観や生活意識の変化を捉えるため、「満足度」や「生活の質」に関する調査を実施しており、内閣府経済社会総合研究所においてもWBの研究が行われています。今回の依頼は、「WBの政策への適用プロセス」をテーマに、主観的な評価項目や政策的フレームワーク*2について、詳しく話して欲しいというものでした。
講演内容については別の機会で取り上げるとして、質疑応答では、特に地方でWBの取り組みが盛んな印象を持つとの指摘がありました。特定の都市だけを取り上げても、所得やWBスコア、性別、年代別で多様な傾向が見られ、こうした細かな違いを捉えるには大規模なデータでは難しく、地域ごとの特徴に焦点を当てた分析が重要です。地方自治体は、こうした地域ごとのニーズや価値観を丁寧に捉え、それに応じた政策を実施することで、WBを効果的に向上させることができると考えられます。
講演では、イングルハートの世界価値観調査を用いて、農耕社会のように社会的流動性が低い地域や宗教色の強い国よりも、近代化が進む国の方が幸福度が高いことを報告しました。しかし、それに対し、「農耕社会に見られる共同体の支え合いもウェルビーイング(WB)に影響を与えるのではないか」との指摘がありました。これまで、価値観は宗教的価値から合理的価値へ、さらに個人の自由を重視する民主的価値へと変遷してきましたが、今後も変化が続くと考えられます。その中で、伝統的な価値観や社会的つながりへの回帰が幸福に与える影響が強くなる可能性もあります。近年、欧米で重視されてきた個人主義的なウェルビーイングに対し、アジアなどで注目される「他者とのつながりの中で見出されるウェルビーイング」が関心を集めていることも、こうした変化の一端と捉えられるかもしれません。
さらに、アマルティア・セン*4の潜在能力アプローチの評価方法についても質問がありました。このアプローチは、物質的な豊かさや量的指標にとどまらず、個人がどれだけ自分の可能性を発揮できるかに焦点を当てるものです。予算や人員(インプット)が必ずしも同じ結果(アウトプット)をもたらすわけではなく、インプットを、期待されるアウトプットやアウトカムに転換する「潜在能力」に配慮することが重要となります。こうしたアプローチの評価についてはまだ未開拓な部分が多いのですが、1つの可能性として、これまでの定量的な(数字で表される)評価に加え、定性的(ナラティブと呼ばれる)評価の重要性も増してくると考えています。
最後に、WBは、地域ごとの特色を踏まえた支援が必要であり、地方自治体が地域のニーズに応じた施策を講じ、国はそのサポートを行うという国と地方の役割分担についても意見をいただきました。
今回、WBの実現には地域ごとのニーズに応じた柔軟なアプローチが必要であり、伝統的な価値観や社会的つながりの重要性を再認識しました。また、従来の定型的な政策形成から、センの潜在能力アプローチのような状況に応じた施策の形成プロセスを含めた研究や取り組みが引き続き不可欠であると強く感じています。
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*1ウェルビーイング(WB):「肉体的にも精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」かつ継続性のある幸福
*2政策的フレームワーク:政策や事業において、目的、成果、活動、リソースを論理的に整理し、因果関係を明確にするために用いられるロジックフレームを元に開発されたウェルビーイングを政策に適用する際のフレームワーク
*3EBPM:エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案。
*4アマルティア・セン:インド出身の経済学者で、福祉経済学や貧困、飢餓、不平等の研究で知られ「潜在能力アプローチ」を提唱した人物。2000年にノーベル経済学賞を受賞。
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2025/1/15大刀洗の取り組みから学ぶ、リサイクルがつなぐ地域の輪
先月、福岡県大刀洗町(たちあらいまち)にある「MEGURU STATION」を訪問しました。「MEGURU STATION」は「互助共助を生むコミュニティ拠点」と「資源回収ステーション」の2つの機能を融合させたリサイクルステーションです。アミタホールディングス株式会社が提案し、地域課題の統合的な解決を目的としています。ただの資源回収拠点ではなく、住民が主体となって運営し、リサイクルを通じて地域コミュニティを活性化させることが目指されます。
[住民が運営するゴミステーション] 実は、今回の訪問は3回目でした。1回目の訪問時は、第1号拠点が実証段階にあり、リサイクルステーションの運営を住民主体で行うというコンセプトが住民にどのように受け入れられるのか未知数の状況でした。袋がいっぱいになると利用者が新しい袋と取り替え、バックヤードに持っていくという作業を行います。多少の手間はあるものの、このステーションがないと1ヶ月に1回の資源の日まで家に保管しておかないといけなかったそうなので、そういう意味で利便性が上がっているというのも、受け入れられているポイントです。
[住民が袋を交換する] その後、2回目の訪問時には校区別に拠点が4つに増え、それぞれの地域に合わせた特色ある取り組みを見ることができました。
たとえば、本郷校区の「ふれあいセンター」では、生ごみをバイオガス化処理してガスや液肥を作り、液肥は敷地内にあるコミュニティガーデンで使われ、育った野菜は地域イベントで使われています。また、菊池校区では放課後児童クラブとリサイクル活動を組み合わせ、子どもたちがリサイクル活動を通じて「ガラガラ券」を取得し、それを駄菓子と交換する仕組みが導入されていました。[生ゴミを活用したコミュニティガーデン] そして今回。本郷校区と大堰(おおぜき)校区「憩いの園大堰交流センター」を再訪し、新たな展開を確認しました。「MEGURU STATION」は、互助共助を高めることを目的としてスタートしていますが、地域の公民館機能とリサイクル活動が結びつくことで、拠点としての役割がさらに広がり、世代を超えた住民の交流が生まれているという印象を受けました。
大堰校区では、資源持ち込みで貯めたポイントを麻素材のバッグやペットボトルキャップ製植木鉢と交換する仕組みがあります。
[獲得したポイントは交換できる] アルミ缶販売収益で設置された無料コーヒーコーナーは、センターの利用者の交流に一役買っています。さらに、隣接する小学校では、ごみの授業で子どもたちと先生、役場職員がセンターを訪問し、学校・役場・センター間の連携も深まっているとのことでした。センター内のアンビシャス広場*1では、放課後活動の一環として ecoくらぶがリサイクル活動に取り組んでいます。
[クラブ活動もごみステーションに貢献] 大刀洗の取り組みから私たちが学べることは、リサイクルが単なる「資源の循環」にとどまらず、人と人をつなげ、地域を豊かにする可能性を秘めているということです。リサイクル活動を見直し、地域で何ができるか考えてみるきっかけになれば幸いです。
*1アンビシャス広場:福岡県が推進する青少年アンビシャス運動の一環として設けられる放課後の子どもたちの地域での居場所
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2024/12/18一括回収プラスチックの組成調査
プラスチックと一言にいっても、種類はさまざまです。ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなど、それぞれ用途や特性が異なります。モノからモノへのリサイクル(マテリアルリサイクル)を行うには、プラスチックの種類ごとに分別する必要があります。
今回は、研究活動の一環として参加している、廃プラスチックの組成調査(※1)の報告です。
今回の組成調査の対象は、 ある自治体にて【一括回収】で集められたプラスチックです。これまで多くの自治体では廃プラスチックの中でも容器包装に当たるもののみを回収していました。しかし、プラスチック資源循環促進法(※2)の制定頃から、容器包装プラスチックと製品プラスチックを「一括で」回収する方法を採用する自治体が増えています。これにより、以前より多くの廃プラスチックの回収が可能となっています。容器包装プラスチックと製品プラスチックの違いについては別の機会に紹介するとして、今回の組成調査で気になったのは次の2点です。
①廃プラスチックの一括回収に、たくさんの「プラスチックでないもの」が混ざっていること。
中でも多かったのがカップ麺の容器です。「外装フィルムはプラスチックでできている。軽くて丈夫だし、この容器もプラスチックっぽい」と、【プラスチック】として出されているようですが、実は【紙】が主体であることが多いです(紙が“主要な”素材)。プラスチックは通常、素材選別や形状選別を経てリサイクルされます。このカップ麺の容器のように他の素材が混ざってしまうと、選別に時間がかかったり、効率が悪くなったります。②お菓子の袋などを小さく折りたたみ、結んだ形で出しているものが見られたこと。
コンパクトになり、ごみのかさも減るので、あえて結んで出している方もいるでしょう。しかし、この状態では選別の過程ではじかれてしまったり、上手く破砕(ばらばらにする)ができなかったりして、本来リサイクルできるものも、リサイクルルートに乗らない可能性が高くなります。リサイクルに出すときは、広げたまま出すのが望ましいです。
小さく結ばれた袋 他にも、袋の中に他の袋や容器を入れて出すのも、異素材が混ざる要因となるので、避けた方がよいです。また、汚れが付いたままでは、再生されるプラスチックにも汚れが移ってしまい、全体の質を落としてしまうため、きれいに洗ってから出す(あるいはごみとして出す)必要があります。
※1:組成調査:家庭や事業所から排出されるごみの種類や割合を調査・分析するもの。ごみの組成を分析することで、ごみの減量やリサイクル推進に役立つ。
※2:プラスチック資源循環促進法:2022年施行。プラスチック製品の排出削減や再利用を促進するもの。企業に設計やリサイクル義務を課し、消費者にも分別回収を求め、環境負荷の軽減を目指す。 -
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2024/10/23学会発表報告「プラスチックの回収と再資源化の評価に関する研究」
図はサーキュラリティマトリックス(Atasuら,2021)を元に
調査結果(仮)を反映
第35回廃棄物資源循環学会研究発表会にて、口頭発表を行いました。
現在のプラスチックリサイクルの課題として、マテリアルリサイクル率*1が低いことと、リサイクル用途(リサイクルされたものがどのように使われるか)が限られていることが挙げられます。
この研究では、サーキュラービジネスモデル(CBMs)を用いてこうした課題を解明・解決できないか試みています。CBMsは、サーキュラーエコノミー(CE)*2を実現するためのビジネスモデルで、シェアリングエコノミーや製品をサービスとして提供する考え方(PaaS)など、さまざまな視点からアプローチします。この研究では、特に「サーキュラリティマトリックス(CM)」を使って、廃プラスチック製品の回収と価値抽出の容易さを視覚的に整理しています。
具体的には、回収が難しいか容易か、またその価値を取り出しやすいかどうかの2軸で、プラスチック製品を4つのカテゴリーに分類しました。このマトリックスを通じて、どの製品が効果的にリサイクルできるのか、どの製品に課題があるのかを見える化しています。
サーキュラリティマトリックス(Atasuら,2021)を元に調査結果(仮)を反映 さらに、評価項目についても詳しく説明しました。回収の容易さは、回収インフラの整備状況やコスト、消費者の協力度などによって決まります。一方で、価値抽出の容易さは、素材の汚れや種類、処理技術の成熟度に影響されます。このような基準を設けることで、実態に即した評価が可能になります。
暫定的な評価結果として、例えば、ストレッチフィルム*3は、単一素材でかつ特定の場所でまとまって排出されるため、回収と価値抽出が比較的容易と評価されています。
今後の展開としては、評価の精度を上げるとともに、評価結果に基づき有効なCE戦略を検討していく予定です。
*1 マテリアルリサイクル率:廃棄された資源を“物理的に”加工して、新しい製品や材料に再利用する方法
*2 サーキュラーエコノミー:有限な資源を無駄にせず最大限に活用し、廃棄物を最小限に抑える持続可能な経済モデル
*3 ストレッチフィルム:物流センターで商品をまとめる時などに使われる薄くて柔軟なプラスチック
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2024/9/30✴︎ plasticペットボトルキャップのリサイクル最新情報 〜9/10工場視察報告〜
ペットボトルの回収率は94.4%に対して、キャップの回収率は20%にとどまっています。小さなキャップですがポリエチレン(PE)もしくはポリプロピレン(PP)の単一素材でできているためリサイクルしやすく、高品質な再生材になります。しかし、一般的なプラスチックの選別施設では、小さいがゆえに選別の際にはじかれてしまうことも多くあります。
出典│日経SDGsフォーラム特別シンポジウム(9/12開催)進栄化成代表・進藤氏発表
*キャップはその他プラスチックとして回収されているため、数字が公表されていません。今回訪問した進栄化成株式会社は、通常小さすぎて選別が難しいキャップを、サイズ別・色別・樹脂別に選別する技術を開発することで、キャップの再資源化を実現しています。
こうして選別されたキャップは、ペレットと呼ばれるプラスチック原料に再生され、プラスチック成形加工業者に販売されます。ペレットは、産業資材・土木資材・流通資材・ ボールペン・回収ボックスなどの色々な製品へ再資源化されます。
こうした技術の進展が、未開拓の資源のリサイクルに必須であると考えられます。
関東を中心に、全国からボトルキャップが集まってくる工場の様子 このペレットが新しいプラスチック製品に生まれ変わります この買い物かごも再利用されたボトルキャップから作られています -
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2024/9/4✴︎ News&blogお知らせ:コーポレート ロゴが完成しました
A luten は8月、設立1周年を迎えました。新しいロゴは今まで大切にしてきた価値観を軸に、今後の指針となるよう制作しました。
ロゴタイプ
生活者にとって環境問題というのは無視できない存在であるものの、重く大きすぎるがゆえにどこか遠くのできごとのように感じてしまいます。
A lutenは無理のない仕組みづくりで関わる人に気づきを与えたり、共に想像したり、仕組みの一部として何かと何かを繋ぐような事業のあり方を目指したいと考えています。楽しさやユーモアをまじえ、あれ?と発想転換させたり、面白そう!と新しい視点を与えたり。わくわくするにつなげていく仲介者、媒介者として活動したい。
そんな思いを込め、親しみを感じる軽やかなタッチのロゴタイプを採用しました。
ロゴマーク
A luten の新しいトレードマークとしてカリブーを選びました。菊澤の環境活動のターニングポイントとしてカナダの亜北極地域の先住⺠族の研究があります。彼らが最も敬意を示すのがCaribou(カリブー=北米のトナカイ)です。
何千年にもわたって先住民族や動物たちの食料となってきたカリブーですが、狩猟や開発など生息地の悪化によって絶滅危惧種に指定されています。このロゴには持続可能な未来を築くという意味も込められています。
新しいロゴを通してA lutenのスタンスと想いを伝え、環境に関わるさまざまなプロジェクトに貢献していきます。