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修理についてのアンケート結果 その2

前回は、2,000人のアンケート結果をもとに日本における修理の現状をお伝えしました。修理の必要性は多くの人が認識しているものの、「どこで修理できるかわからない」「高そう」という情報・コスト面の障壁が、修理という選択肢を遠ざけている実態が浮かび上がりました。
では、そうした状況の中で積極的に修理を活用している人たちは、どんな層なのでしょうか。今回は「修理ヘビーユーザー」に焦点を当てます。
修理ヘビーユーザーとは
今回の調査では、過去2〜3年に日用品修理店を複数回利用し、合計でおよそ2万円以上を費やした人を「修理ヘビーユーザー」と定義しました。修理経験者の約16%に相当します。2万円という金額は、衣類のファスナー交換や裾上げを複数回、あるいは高価なバッグや電化製品の修理なら1〜2回でほぼ達する水準です。特別な出費というよりも、日常的な選択の積み重ねといえるでしょう。
ヘビーユーザーの特徴
最も多いのは30代(27%)で、調査全体の割合(15%)の1.8倍にあたります。40代(21%)と合わせると、30〜40代でヘビーユーザー全体の約半数を占めます。
その他の特徴を調査全体と比較すると、次のような傾向が見えてきます。
- 子どもがいる:56%(全体平均45%)
- フリマアプリで売買両方を経験:60%(全体平均29%)
- 世帯年収1,000万円以上:30%(全体13%の2.3倍)
- 東京都内在住:30%(全体17%の1.8倍)
子育て世帯や所得水準の高い層、都市部の居住者、そしてフリマアプリで「モノの価値を見極める」習慣を持つ人に、修理の積極的な利用者が多い傾向があります。
修理する理由の違い

さらに注目したいのは、修理を選ぶ動機の違いです。調査全体では「まだ使えるから」という実用的・経済的な理由が最も多かったのに対し、ヘビーユーザーでは「愛着や思い入れがあるから」という感情的な理由が上位に挙がりました。
ヘビーユーザーにとって修理の対象は、単なる日用品ではなく手放したくない大切なものです。だからこそ、多少費用がかかっても修理を選ぶ——そうした「愛着への投資」という動機が、高単価・高頻度の利用につながっていると考えられます。
不満・不安の違い

修理に関する不満や不安にも、両者で異なる傾向が見られました。調査全体では料金やアクセスの悪さを挙げる人が多い一方、ヘビーユーザーは「大切なものを自分では直せない」ことへの不満が目立ちます。ただし、料金や修理可能な範囲の見通しが立てにくい点は、両者に共通する課題です。
修理市場の可能性
前回お伝えしたとおり、修理を利用している人は全体の約20%にとどまります。情報やアクセスの壁がある限り、ニーズがあっても修理は選択肢に入りにくい状況が続くでしょう。
一方で、ヘビーユーザーの行動が示すのは、修理が日常の延長線上にあるという事実です。壁さえ取り除けば、修理はより多くの人に自然に選ばれる選択肢になり得ます。
調査結果が示す課題は2つです。まだ修理を使っていない人には、認知・アクセス・価格の透明性という障壁を下げること。すでに修理に積極的な層には、愛着あるものをより深く・長く直せる体験を提供すること——これが市場の単価と頻度を高める鍵になるでしょう。
愛着あるものを長く使う文化が再評価される時代は、すでに始まっています。日本の修理市場にはまだ大きな成長の余地があります。
【調査概要】
調査対象:20代〜70代以上の男女
サンプル数:2,000人(各年代300〜400人)
調査方法:オンライン調査
調査期間:2026年10月~11月
