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【登壇報告】第37回環境工学連合講演会にて講演しました

2025年5月27日(火)、六本木・日本学術会議講堂にて開催された「第37回環境工学連合講演会」公開シンポジウムに登壇しました。
本シンポジウムは「先進サスティナブル社会における環境工学の役割」をテーマに、環境・エネルギー・社会システム・教育など多様な分野の専門家が集い、未来志向の研究や取り組みを共有する貴重な場となりました。
A luten代表の菊澤は、「プラスチック資源循環のための評価フレームワークの構築:サーキュラービジネスモデルの視点から」と題して講演を行い、プラスチック循環の実装を後押しするための評価フレームワークについて報告しました。
当日は、現地とオンラインを合わせて300名を超える方々にご参加いただき、プラスチック循環というテーマへの関心の高さがうかがえました。
また、質疑応答では、「再生プラスチックを流通させるには、量が先か、質が先か?」という本質的な問いが寄せられ、講演後の意見交換でも関心の高い議題として話題に上がりました。翌日に参加したNEW環境展の会場でもお会いした方々に同様の問いを投げかけたところ、興味深い見解が複数寄せられましたので、ご紹介いたします。
欧州の環境プラントメーカーの出展者からは、「日本では再生材を目玉商品に用いようとするあまり、初めから高品質を求めすぎている」との指摘がありました。包装材、物流資材、什器など、製品以外の用途も含めて再生材を柔軟に活用していくべき、という意見です。
さらに、再生プラスチックを扱う商社からは、「高品質な再生材へのニーズは国内でも確実に高まっているが、その品質と量を安定的に確保できる状況にはない」との声も聞かれました。これは、メーカー側が求める品質と供給量のハードルの高さが、普及の妨げとなっている現状を示唆しています。
今回の講演でご質問くださったのは、再生材を供給されているリサイクラーの方でしたが、同様の課題意識を持たれている様子がうかがえました。講演でも述べたとおり、バリューチェーンのいずれかの段階で「詰まり」が生じていることは明らかです。再生材の価値が市場において認められれば分別排出も進み、高品質な排出や再資源化への協力が得られるはずですが、その評価や需要が曖昧なままでは、主体的な協力は得にくいのが現状です。
今回の登壇を通じて得られた気づきやフィードバックを、今後の研究と社会実装の方向づけにしっかりと活かしていきたいと考えております。
最後に、このような貴重な機会をいただきました日本学術会議 環境学委員会 環境科学・環境工学分科会の皆さま、本会議へのご推薦をいただきました廃棄物資源循環学会の皆さま、そしてご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。